「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第15回『一億本の向日葵』 ~ものがたりを聴く~

第15回『一億本の向日葵』

~ものがたりを聴く

先日14日㈮に開催された東京試写会に続いて、松本では16日㈰にがん哲学ドキュメンタリー映画「がんと生きる 言葉の処方箋」の試写会を開催した。松本がん哲学みずたまカフェでの撮影などにご協力頂いた方々との再会はとても喜ばしいものであった。今は亡き方と映画を通して再会できたことも、悲しみと喜びを一緒に運んで来てくれた。

「ものがたり」。この映画には多くの「ものがたり」が収められている。本当に唯一無二のかけがえのない「ものがたり」。観る人の心にはきっとそれぞれの「ものがたり」と重なりながら届くのではないか。

今月で18回目を迎えた松本のカフェでも、本当に多くの方の人生の「ものがたり」が語られている。日常の中ではあまり語られることのない“どう生きてきて、どう生きていくのか”という対話を可能にしているのは、やはり“がん”という共通のキーワードの存在と、『がん哲学』の場である。そして、実はその恩恵を一番受けているのは、誰でもない主宰者の私である。参加者の皆さんの人生の「ものがたり」は、いつも感動や様々な学びを下さり、私の視野を広げ続けてくれる。『がん哲学外来メディカルカフェ』のような場が増え、人生の「ものがたり」を安心して語ることができ、人生のかけがえのなさを実感できたら、きっと明日の見え方も変わってくる。

樋野先生は「いい人生は、最期の5年で決まる」と語られている。

人生の「ものがたり」の最終章はどんな風に描かれるのか。それはきっと最期の5年を意識しながら、丁寧に生きる毎日の「ものがたり」の積み重ねなのではないかと思う。

樋野先生の「がん哲学」、「言葉の処方箋」、そしてこの映画のメッセージが多くの方に届き、「ものがたり」に心に咲いた花が添えられますように。

映画ポスター

ひまわり担当🌻斉藤智恵美