「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第69回『一億本の向日葵』~今年の目標と歩み~

第69回『一億本の向日葵』

~今年の目標と歩み~

今年一番初めの「一億本の向日葵」で私は今年の目標を書きました。目標といっても“これを達成したい”というゴールを設定したわけではなく、“自分だけ、という例外を外す”という何とも掴みにくい目標を掲げました。私は今までに誰かの笑顔に励まされた、元気をもらった、喜びをもらったという経験が幾度もありました。その笑顔はコミュニケーションのためのものではなく、その人の喜びに由来したものであり、湧き出るエネルギーを伴うものです。例え、その人のことが苦手だったとしても、通りすがりの人が一人思い出し笑いをしていても、その笑顔は私の気持ちを嬉しくさせました。では、自分の喜びの笑顔はどうなのか。この問いかけにより、私は自分を例外にしていることに気が付いたのです。自分の笑顔が誰かを励ましたり、元気づけたり、喜びを与えることなんて本当にあるのかと疑っていたのです。皆さんはいかがでしょうか?自分の喜びや笑顔が、誰かの喜びになっていることに気付いていますか?だからこそ今年は「私の喜びや笑顔も、必ず誰かに喜びを与えている!」と、“自分だけ”という例外を外すことにチャレンジしたのです。喜びに包まれること、たくさん笑うこと、楽しむことを今までよりももっと大切にしました。最初は自分の喜びを知ることでさえ、練習が必要でしたし、鬱々とした気分の自分をどんな風に励ましたり、喜ばせたりできるか、まるでゲームのようでした。喜びには大げさな仕掛けが必要なわけではなく、時には自分を責める気持ちを解消するだけでも元気が湧いてきました。自分が心や頭の中で自分に対してどんな声をかけているのか。否定的なものが多くなっていたりするとどんどん喜びを感じにくくなることにも気が付きました。自分の声がけが自分を傷付けていることもたくさんあることも知り、周りの人を大事に思うように、自分も大事に思っていいというところにも気づきがありました。そして、今年は昨年よりももっとたくさんの人に助けてもらいながら、毎月の松本がん哲学みずたまカフェ、8月の映画上映会&シンポジウム、リレー・フォー・ライフ・ジャパン信州まつもとの活動に取り組みました。時に迷惑や心配をかけながら、笑って泣いて、励まし励まされ、私と一緒に歩んでくださった皆さん。一人一人の方の変化や笑顔にどれだけ喜びをもらったかわかりません。私の苦手な部分や足らない部分を助けてもらい、感謝の気持ちが湧き上がることも、それを伝えることも増えました。「ありがとうございます」この言葉を伝える機会は喜びそのものでした。この一年を振り返ると、私がうれしい時、周りにはたくさんの笑顔がありました。誰かがうれしい時、私も一緒に笑っていました。悲しい時も、うれしい時も、その感情を共有した瞬間から自分だけが例外なんてことはあり得ないのだと、人と人が接点を持つときにどちらかだけが影響することなどなく、双方に影響を及ぼしながら存在しているのだと実感した一年でした。

今年一年本当にお世話になりました。心より感謝申し上げます。

皆様の健康と喜びが守られますように♪

来年もよろしくお願い致します!!!

ひまわり&パンダ担当🌻齋藤智恵美