「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第92回「心に咲く花会」『人生から期待される生き方』 〜 『あなたは そこにいるだけで 価値ある存在』 〜

第92回「心に咲く花会」

『人生から期待される生き方』 〜 『あなたは そこにいるだけで 価値ある存在』 〜

コロナショックの日々である。 そんな中、野澤和之 映画監督から、『映画「がんと生きる言葉の処方箋」ゼネラルプロデューサー田寺さんからの 言葉の処方箋( https://youtu.be/ANwTrwnanbs )』が送られてきた。 既に10作 作製されているので、今回は、第2弾のスタートであろうか! 映画『がんと生きる言葉の処方箋』には、約30名の方が、出演されているので、30作 出来れば、歴史的快挙である。「コロナ疲れ」、「コロナ適応障害」の蔓延化するタイミングに、「光を伴う温かさ」を放つ 第2作目の映画が 制作される予感がする。 本当に実現すれば、歴史的大事業となろう! まさに「もしかすると この時のため」である!

この時期、読書の時間も増えている。 アウシュビッツを自ら体験し「ロゴセラピー」の提唱した 精神科医ヴィクトール・フランクル(1905-1997)再読の時となった。 「ここで必要なのは、生きる意味についての問いを 百八十度方向転換することだ。 わたしたちが 生きることから なにを 期待するかではなく、むしろ ひたすら、生きることが わたしたちから なにを 期待しているかが問題なのだ、ということを学び、絶望している人間に 伝えねばならない。(ヴィクトール・E・フランクル『夜と霧』)」。また、 『「生きるべき理由」を持っている者は ほとんど「いかなる事態」にも 耐えられるのだ』(ニーチェ)の 言葉も思い出した。 まさに「人生に期待しない。人生から期待されていると考える。」(『人生から期待される生き方』主婦の友;2017年)の 復習である(添付)。

今回は、また、マザー・テレサ(1910-1997)が脳裏に浮かんだ。『そこを 歯を食いしばってこらえ、褒め続けるのです。 そうすると 何が変わるでしょうか。 まず風貌が変わります。 心の中に 嫉妬心があると、いくら 紳士面をしていても 顔に表れています。 3分間褒め続けられるようになると、相手を祝福する気持ちが 表れるようになります。 相手との関係も よくなっていきます。 昔インドで、マザー・テレサに 砂糖を届けた4歳の男の子がいました。 その子は、「マザー・テレサや 貧しい人のために」と、3日間砂糖を食べるのを我慢して 届けたのです。 その子のように、3日間犠牲にしなさいとは言いません。 まずは3分間の犠牲に 努めてください。 人を評価するときは、歯を食いしばって 3分間褒め続ける。 非難はしない。 そうすると次第に、自分も褒め続けてもらえるような 人間に変われるのです。』(『あなたは そこにいるだけで 価値ある存在』KADOKAWA;2016年)(添付)である。 今回は、「人のために 進んで 何かをする」、「丁寧に 生きる」を、具体的に 静思する 深い学びの時が 与えられた。