「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第115回「心に咲く花会」『日本メディカルヴィレッジ学会』〜 「事前の舵取り」 〜

第115回「心に咲く花会」

『日本メディカルヴィレッジ学会』〜 「事前の舵取り」 〜

『昨日の、淀橋カフェで録音しました「樋野動物園」テーマソング。  皆さんに聞いてもらいました。  歌いやすく、癒されるメロディーと大好評です。  冗談が小冊子、歌でびっくりされてます。「冗談を本気でやる胆力」ですね。』との励ましのメールを頂いた。

今週末は、第3回『日本 メディカル ヴィレッジ 学会』(福岡県八女市の於いて)と『福岡ホスピスの会』に赴く(添付)。  第1回『日本 メディカル ヴィレッジ 学会・生涯活躍のまち』共催シンポジウム(奄美群島 伊仙町長 大久保明 大会長)は、「徳之島交流ひろば ほーらい館」に於いて開催された。  筆者は、本学会の理事長として基調講演『「がん患者と共に、その心のケアと哲学」〜 メディカルヴィレッジは徳之島だった〜』の時が与えられた。  第2回『日本 メディカル ヴィレッジ 学会』は、2019年10月19日長野県小諸市で開催された。『日本メディカルヴィレッジ学会』は、がんなどの病を抱えた患者 さんやそのご家族が、最期まで 安心して暮らすことの出来る場所(Medical Village)を地域に創り出 すことを目的として設立された。  さまざまな病を抱えた方々、高齢の方々などが 心安らかに暮らせる場所とは、どのような環境であろうか?  人が生きる目的を持ち、自分の居場所を見出し、 自身の人生を大切に生きることができる場所。  そんな営みをサポートするためには、ひとつの村、すなわち「地域の協働体 = 1人の人間を癒すに は、1つの村」が必要であろう。

人間は、自分では 「希望のない状況」であると思ったとしても、 「人生の方からは期待されている存在」であると実感する深い学びの時が与えられている。  その時、その人らしいものが発動してくるであろう。  「希望」は、「明日が世界の終わりでも、 私は今日りんごの木を植える」行為を起こすものであろう。  「自分の命より大切なものがある」ということを知ることは、「役割意識 & 使命感」 の自覚へと導くのであろう。  「練られた品性と綽々たる余裕」 は 「Medical Villageの真髄」である。  「責務を希望の後に廻さない、愛の生みたる不屈の気性」が「人生の扇の要」の如く甦る。  「ビジョン」 は人知・思いを超えて進展することを痛感する日々である。「目的は高い理想に置き、それに到達する道は臨機応変に取る べし」(新渡戸稲造)の教訓が今に生きる。  『日本メディカルヴィレッジ学会』の存在の時代的意義は、ここにあろう。  『日本 メディカル ヴィレッジ 学会』は、 まさに、「意志の共鳴」 である。  人間の尊厳に徹した医学・医療の在り方を考え、「潜在的な需要の発掘」 と 「問題の設定」 を提示し、「医学 ・ 医療 ・ 教育 ・ 研究」 に「新鮮なインパクト」 を与えることが『日本 メディカル ヴィレッジ 学会』の使命であろう。「日本 メディカル ヴィレッジ 学会」は、人類の進むべき方向の「事前の舵取り」ともなろう。