「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第146回「心に咲く花会」 『先人の志を継承する』 〜 普遍的な学びの訓練 〜

2021年5月29日 放送大学 埼玉学習センター での2コマZoom講義(9:50〜11:20、 11:35〜13:05)に赴いた。  「科目名:がん哲学外来 〜 言葉の処方箋 〜、 専門科目:生活と福祉、 担当講師:樋野興夫(順天堂大学名誉教授)、高野みどり(元放送大学客員准教授)」、{【授業内容】:「がん哲学」とは、生きることの根源的な意味を考えようとする患者と、がんの発生と成長に 哲学的な意味を見出そうとする医師との 対話から生まれました。  日本人の半分が がんになる時代、好むと好まざるとにかかわらず、多くの人が がんと一緒に生きる方法を 見つけなければなりません。  授業では 教科書の読みあわせと 解説をしつつ、受講者とのディスカッションを中心に 講義をすすめます。  患者さん、患者に寄りそいたいと思う方すべてが対象です。}、{【学生へのメッセージ】:私が若き日から、夜を徹して読書した 「新渡戸稲造内村鑑三」を銘打った「がん哲学外来」が実現したことは、本当に、不思議です。  人知を超えた、特別な働きを肌で感じる 今日この頃です。  授業でのデスカッションには 積極的に参加して下さい。}と 紹介されていた。

 

【授業テーマ】

第1回 「がん哲学」とは(樋野)

第2回 「天寿がん」の時代に向けて(樋野)

第3回 がん哲外来&メディカルカフェの実際(髙野)

第4回 がん体験者からのメッセージ~病気であっても病人ではない~(髙野)

第5回 ゲノム時代と発がんの研究(樋野)

第6回 相反するものの同居~楕円形のこころ~(樋野)

第7回 映画「がんと生きる」~言葉の処方箋~(樋野・髙野)

第8回 まとめ 医療の隙間を埋める~寄り添うとは~(樋野)

 

とある。  筆者は、1コマは、スライドを示しながら講義し、2コマは『がん哲学』{(2004年3刷(to be出版)、2007年2刷(改訂版)、2009年(新訂版;立花隆 氏と対話)、2011年(EDITEX)}の『第1章:がん細胞の世界から人間社会を語る』から

 

「がん哲学」の気概

「天寿がん」の時代に向けて

ミクロの世界の知恵

ゲノム時代の到来

クローン時代を迎えて

倫理とは慣れ?

がん化を左右する境遇

大成するがんの芽は千分の一

がんの発症部位と生活スタイル

睡眠中の遺伝子、活動中の遺伝子

がんの告知

 

の箇所を 音読しながら進めた。  真摯な質問が多数あり、大いに感動した。  『がん哲学』の発行は、17年前であるのに、「修正箇所 無し」である。  「日進月歩の分野」であるのに驚きである。  これこそ、『先人の志を継承する』ことの「普遍的な学びの訓練」ではなかろうか!