「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第160回「心に咲く花会」 『バランス力を磨く』 〜 二つの道 〜

2021年9月3日 『がんサポートナース養成Zoom講座』 (代表: 片岡幸子 氏) に赴いた (添付)。 今回は、『がんサポートナース養成講座 四期生』 の講座で、タイトル 『バランス力を磨く』 であった。 三期生のときは、『医療者の道 「尺取虫運動に学ぶ」』 であった。 多数の質問を頂いた。

☆「新型コロナウィルスについて」
「あいまなことは曖昧に答えるのが科学的である。」、「分かりません」、「グレーゾーンを確信をもって答えるには愛しかない。」

☆「本当に自分が悩んでいる時には、顔と顔を合わせて話をすると良い」
矢内原忠雄(1893-1961)が人生で悩んだ時に、内村鑑三(1861-1930)に相談に行くと、内村鑑三は「私も分かりません」と言った。しかし、矢内原忠雄はその時の内村鑑三の態度を見て「あの内村鑑三先生でもわからない」と言って、矢内原忠雄の悩みが解消した。「何を言ったかではなく、誰が言ったか」である。

☆「過度な自粛ムード」
どちらの道に行くかは「自由意思」、「二つの道:過度と軽度」

☆「流れる水は腐らない」
溜まると濁る、何かをする時に不安になったり、心配したりするとダメ。

☆「一番困っている人を優先する」
「偉大なお節介」、「自分のやりたいことをする」=「余計なお節介」、相手の気持ちに共感し、自分の気持ちで接しない、自分の命が最も大切だと思い、自分のことを優先して判断する人が多い。

☆「自分のことには無頓着になると良い」
「ほっとけ」「気にするな」、病気、がん、感染症・・・理由は様々だが「人はみな死ぬ」、自分のことを気にしていると一日中気になる、自分でコントロールできないことに一喜一憂すると疲れる。

☆「病気であっても病人でない社会をつくるべき」
病気は仕方ない、雨は誰でにでも降るけど、傘をさすか、レインコートを着るか、軒に入るか、家の中に入るか・・・何もしないか、は「自由意思」。

大変有意義な時であった。 まさに、「気が弱ければ事は成らぬ」(新渡戸稲造;1862-1933)の学びの時であった。


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