「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第171回「心に咲く花会」 新渡戸稲造 ゆかり 〜 恵泉女学園と東京女子大学 〜

2021年11月18日新渡戸稲造(1862-1933)が恩師である河井道(1877-1953)が創立した恵泉女学園で、恵泉女学園の運営に関わられた末光績(1881-1955)のお孫さんの松谷高顕 氏と史料室で会談した。 「祖父末光績は恵泉女学園創始者河合ミチ先生からお声がかかり園長補佐を務めていたようです。 先生が恵泉女学園理事長にご就任されたとのこと大変うれしく思っております。」との心温まるメールを頂いた。 松谷高顕 氏は、ドキュメンタリー映画『がんと生きる言葉の処方箋』に特別協賛して頂いた。 お父様の松谷義範(1911-1996)の著作『経営者と哲学』(1989年)も拝見した。

 

思えば、2018年、軽井沢プリンスホテルでの『The 20th Academia Eurasiana Neurochirurgica』(本郷一博 会長/信州大学医学部脳外科教授)の特別講演『Cancer Philosophy & Cancer Philosophy Clinic 〜“having a disease but not a sick person”〜』に招待され、「Since I have carried out “Cancer Philosophy Outpatient Clinic” in 2008 at at Juntendo University Hospital,― By the motto “having a disease but not a sick person” a search for living in a way of one’s personality, it has been held in a variety of places, not just at healthcare facilities. I feel tense that “Cancer Philosophy Outpatient Clinic” is exactly need in the era.」の趣旨で、英語で講演したことが思い出された。 軽井沢の地であるので『新渡戸稲造内村鑑三(1861-1930)』をヨーロッパ、アジアの脳外科医に紹介した。 内村鑑三の『プロの為さざること5箇条』(『がん哲学 〜 がん細胞から人間社会の病理を見る 〜』(to be出版 改訂版102~103 page、『英語版:Cancer Philosophy 〜 Seeing Society From the Views of a Cancer Cell 〜』(98〜99 page)を語ったものである(下記)。
1) Professionals do not prey on others’weaknesses. 「プロは人をその弱きに乗じて苦しめず」
2) Professionals do not insist on pay back. 「プロは人に悪意を帰せず」
3) Professionals do not count on the mercy of others. 「プロは人の劣情に訴えて事を為さず」
4) Professionals do not disclose the secret of a friend. 「プロは友人の秘密を公にせず」
5) Professionals do not compete for profit. 「プロは人と利を争わず」

「英語のご講演は要素がさらに集約されて、新鮮でした。もちろん先生の日本語のご講演が、人の心を動かすことは言うまでもありません。」 と心温まる激励のメールを本郷一博 先生から頂いた。 そして、シンポ『新渡戸稲造 軽井沢夏季学校 〜 校長就任 100周年記念を迎えて 〜 第2回 軽井沢夏季がん哲学学校』は、下記のプログラムで開催された。

【司会】 小泉知展 信州大学医学部附属病院 信州がんセンター長
【開会挨拶】 本郷一博 信州大学医学部附属病院 脳神経外科教授
【挨拶】 松谷高顕 東邦ホールディングス 相談役
【基調講演1】『新渡戸先生の机』宗雪雅幸 恵泉女学園 理事長
【基調講演2】『女子高等教育と新渡戸稲造』氏家純一 東京女子大学 理事長
【がん哲学外来映画製作ダイジェスト版DVD】野澤和之 監督
【総括・閉会】『国際教養と新渡戸稲造』樋野興夫

 

東京都内からも、多数の参加者があり、会場は満員であった。 軽井沢には 独特な雰囲気があり、大いに心も癒やされる。 『本日は、新渡戸稲造 ゆかりの恵泉女学園東京女子大の貴重なお話と、樋野先生のユーモア溢れるお話を、軽井沢の地でお聴きすることができ、大変充実した祝日となりました。』、『本日は格調高いお話を たくさん お伺いでき貴重な機会でした。女子高等教育のあり方を深く考える ヒントをいただきました。』などなどの勇気付けられる、多数のコメントを頂いたことが、今回、鮮明に思い出された。