「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第173回「心に咲く花会」 与えられた経験 〜 愛情のしるし 〜

アメリカ合衆国のNew York(ニューヨーク)から、「今回の勉強会(日本時間:12月19日9:00〜10:30 am)の記事が、ニューヨークのローカル新聞に掲載されていますので、ご紹介いたします。 開催の日が近づき、楽しみです。」(添付)、さらに、「私たちに与えられた経験から、できる事を皆さんに伝える活動を続けさせていただいております。」との 使命感溢れる 心温まる連絡を頂いた。 大いに感動した。 ニューヨークと言えば、筆者が癌研時代、米国アインシュタイン医科大学 (Albert Einstein College of Medicine) 肝臓研究センターに、留学(1984-1985)した当時が鮮明に思い出された。 人生の忘れ得ぬ体験であった。

 

「来年(2022年)10月の調整で 愛カフェ(国立療養所長島愛生園)10年を予定されています。」(添付)と連絡を頂いた。 筆者は、2014年、『神谷美恵子(1914-1979)生誕100周年 & 愛カフェ2周年』記念(添付)に赴いた。 「愛カフェとは:樋野興夫 先生の講演をきっかけにスタートし、入所者の方や がんにかかった人、また、地域の方々、小さいお子様など、あらゆる世代や立場の人々と お茶を飲みながら交流する場所です。」と謳われている。 神谷美恵子の父である前田多門(1884 – 1962) の結婚式の媒酌人は、当時、国際連盟事務次長を務めていた新渡戸稲造(1862-1933)であり、新渡戸稲造を尊敬していた両親と同様に神谷美恵子新渡戸稲造から大きな影響を受けたものである。

 

神谷美恵子は、「私の記憶に残る先生と言うのは、何とも言えず、慈愛の深いおじいさまと言う感じで、私たちの家によく遊びに来て下さいまして、私たちの頬をつめるという癖をお持ちでした。 それが子供への愛情のしるし であったらしいです。」(『新渡戸稲造 先生と女子教育』)と記述している。 神谷美恵子は、自らも、1954年がんに罹患した後、兵庫県芦屋の自宅から通って 長島愛生園の精神科医長として勤務(1957-1972)したと 若き日に聞いたものである。 そして、神谷美恵子は『生きがいについて』(みすず書房 1966年発行)を著作した(添付)。 目次は、『1 生きがいということば 2 生きがいを感じる心 3 生きがいを求める心 4 生きがいの対象 5 生きがいをうばい去るもの 6 生きがい喪失者の心の世界 7 新しい生きがいを求めて 8 新しい生きがいの発見 9 精神的な生きがい 10 心の世界の変革 11 現世へのもどりかた』である、 来年(2022年)の『愛カフェ10年周年 & 新渡戸稲造 生誕160周年』記念で、再び『読書感想文コンクール』(添付)が企画される予感がする。


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