「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第197回「心に咲く花会」 異分野の交流 〜 『桃太郎』の器量 〜

2022年5月18日夜 第226回 『黎明の会』(六本木バトゥーに於いて)で講演『がん哲学と南原繁』の機会が与えられた。『「今回は新渡戸稲造や南原繫の研究者としても有名で、「がん哲学外来」の創設者である樋野興夫先生をお招きしています。」』と過分な紹介がなされていた。 大いに感激した。 大学の教授、企業の会長、社長、医師など、多種の参加者であった。 大変有意義な異分野の交流の時であった。 2022年5月19日は、東京女子大学の理事会・評議委員会に赴いた。 2022年5月20日夜は、Zoom⽅式での南原繁研究会(第214回)に出席した。 ⾃由発表、読書会『回想の南原繁』であった。 本当に日々勉強である。 2022年5月21日は、 早稲田大学エクステンションセンター中野校(東京都中野区)での、2022年春講座『がんと生きる哲学』〜 医師との対話を通して「がん」と生きる方法を考える 〜」である。 教科書は、新刊『がん細胞から学んだ生き方』(へるす出版2021年)を使用している。 今回は、第1章『医療者としての原点』の『首尾一貫する大切さ』から音読しながら進める。「大きな愛情と大きなスケールをもった人間」、「純度の高い専門性と社会的包容力」
の学習の場である。

 

【「新渡戸稲造が 雑誌の執筆や講演の依頼を受けるようになると、思慮の浅い学者は「専門以外の仕事をするとは、なにごとか」と批判しました。 そのような声に対して新渡戸稲造は「講演や雑誌の執筆で、吾輩は専門的知識は教えない。 常識を教えるのだ」と反論しました。 そして理想と確信をもって陣営の外に出ていったのです。」、まさに「見る人の 心ごころに まかせておきて 高嶺に澄める 秋の夜の月」の心境です。」、「新渡戸稲造は著書『世渡りの道』のなかで「桃太郎に器量があったからこそ、犬猿の仲の犬と猿、そして雉というまとまるはずのない三者を 最高の運命共同体にすることができた。 人は性質の異なった者を受け入れるだけの雅量を もたなければならない」と提言しています。」、「『桃太郎』の解釈は、好き嫌いで仲間や部下を集めたり排除する自称リーダーへの警告でもある。」】の復習である。