「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第205回「心に咲く花会」 「教育の原点」 〜 『心が通じ合う人と出会う』 〜


2022年7月14日、ルーテル学院大学(東京都三鷹市)のZoom講義『総合人間学』(10:20〜12:00)と対面授業『現代生命科学I』(14:30〜16:10、16:20〜18:00)の3コマの講座に赴いた。

 

『総合人間学』では、『楕円形のこころ』(春秋社 発行)を教科書に用いて、今回は、【第3話『クオリティ・オブ・デスの世界』: 孤独に慣れる、一日一時間の静思、病気であっても病人でない社会、聖書が伝える生命のドラマ、無言の支え、がんとの共存へ、がんを取り巻く環境、クオリティ・オブ・デス、最期の五年間で人生を語る」】を音読しながら進めた。
一日一時間、ひとりで部屋にこもって静かに深く考える習慣を身につける
良質の本に出会い、精読する
人生は茨の道にもかかわらず宴会
人間の寿命
対話学、寄り添い方
天寿がん
「これでよい」、「これでお終い」、「もう逝きます」
一条の光が射すのを待つ
について語った。

 

『現代生命科学I』の『病理学』では、「教科書」の【『老化と老年病』:老化のしくみ、老化によるがんの発生、老化による心血管病、諸臓器の老化と病気、老年病、老年症候群、医療従事者としての心得、「テロメア:老化やがんの原因」、「オートファジー:細胞内のごみ処理施設」、『新生児の病理』:正期産児の疾病、早産児の疾病、胎盤と臍帯血輸血、『先天異常』:先天異常の原因・要因】の箇所を音読しながら授業した。

 

学生の真摯な姿勢と多数の質問には、大いに感激した。 まさに『心が通じ合う人と出会うことが 人間の一番の楽しみである。』(新渡戸稲造;1862-1933)が「教育の原点」であろうことの再認識の時となった。