「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第227回「心に咲く花会」 考え抜いて言葉を残す 〜 薪をくべ続ける 〜

2022年11月30日早朝、アメリカ合衆国南カリフォルニアの『メディカルカフェ☆南カリフォルニア』代表の石嶋まりこ氏から、【先日のメールで医療従事者や緩和ケアの方たちからの関心が高まっているとお伝えしましたが、まさに先生が15年前に順天堂で始められた「医者と患者の隙間を埋める」ということの必要性が、今大きく関心を集めているのを感じます。 ずっとずっと前にそれを実行して今も広がり続ける活動にまで薪をくべ続けている先生はやっぱり、宇宙人だと思いました!】とのニューモア溢れる心温まるメールを頂いた。

 

その後、新幹線で2009年に開設された『吉田富三記念福島がん哲学外来』(福島県立医科大学附属病院臨床腫瘍センターがん相談支援センターに於いて)に赴いた。【吉田富三(1903~1973)明治36年福島県浅川町生まれの病理学者。「吉田肉腫」及び「腹水肝がん」の発見で世界的に知られ、文化勲章を受けた。学者としてのみならず、がんという病気を通じて社会の原理にまで言及する言葉を多く残す。】と謳われている。 チラシには、【福島県医大福島県出身の世界的病理学者吉田富三博士を記念して、博士の孫弟子である樋野興夫先生が『福島がん哲学外来』を開設しました。 がんと共に生きる患者/ご家族の思いや悩みをともに考える“心の診察室”です。】と紹介されている。

 

帰京中に、福島県石川郡浅川町にある『吉田富三記念館』の松本三弥子氏から【福島県立医科大学での哲学外来お疲れ様でした。 吉田富三博士に関してのお気持ち大変嬉しく、感謝いたします。 博士の生誕120年、没後50年の年にささやかではありますが企画展を計画しており少しずつすすめているところです。 詳細が決まりましたらご案内申し上げます。 また、樋野先生には引き続きお力添えを賜りますようお願いいたします。】との励ましのメールを頂いた。 先日、筆者は、『吉田富三博士没後50年・生誕120年記念事業』記念誌への執筆の依頼を受けた。【吉田富三博士は、『自分のオリジナルで流行をつくれ』で、「事に当たっては、考え抜いて日本の持つパワーを充分に発揮して大きな仕事をされた。」】と癌研究会癌研究所時代の恩師:菅野晴夫(1925-2016)先生から学んだものである。 今回は、貴重な『福島の旅』となった。