「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第243回「心に咲く花会」 時空を超え出会う 〜 内村鑑三 & 新渡戸稲造 & 南原繁 & 矢内原忠雄 〜

2023年2月9日は『ひばりヶ丘―>池袋―>新宿―>経堂【恵泉女学園】―>新宿―>中野【新渡戸稲造記念センター】―>御茶ノ水順天堂大学】―>池袋―>東久留米』の電車の旅であった。 電車の窓から見る景色は快晴であった。

 

想えば、筆者に強い印象を与えた言葉は、小学校の卒業式で、来賓が話された『ボーイズ・ビー・アンビシャス』(boys be ambitious) である。 札幌農学校のウィリアム・クラーク(1826-1886)が、1877年その地を去るに臨んで、馬上から学生に向かって叫んだと伝えられている言葉である。 クラーク精神が内村鑑三(1861-1930)、新渡戸稲造(1862-1933)を生み、筆者は、内村鑑三新渡戸稲造へと導かれ、英文で書かれた『代表的日本人』(内村鑑三) と 『武士道』(新渡戸稲造)が、若き日から私の座右の書となった。 さらに2人を恩師とする南原繁(1889-1974)・矢内原忠雄(1893-1961)の読書に繋がった。 この4人は、筆者の人生の起点であると言っても過言ではない。 まさにパウロの言葉『すべてのことを働かせて益としてくださることを、私たちは知っています』(ローマ人への手紙8章28節)の実体験でもある。

 

筆者が新渡戸稲造の言葉で感銘を受けた『言葉の処方箋』10か条
1.間断なき努力は進歩の条件
2.自分の力が人の役に立つと思うときは進んでやれ
3.意思は人なり
4.人の欠点を指摘する要はない。人のあやまちは語るには足りぬ
5.学問より実行
6.理由があっても腹をたてぬこそ非凡の人
7.花は芽にあり
8.威厳は優しき声に現れる
9.われ太平洋の橋とならん
10.心がけにより逆境も順境とされる
一見『理解不能モード』である複雑な現代社会・混沌の中での『一筋の光』を痛感する日々でもある。 時空を超え『心が通じ合う人と出会う』である。