「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第362回「心に咲く花会」 喜んで小さなことに大きな愛を込める ~『温かく迎い入れる』〜

2024年7月20日、2012年からスタートされた『お茶の水メデイカル・カフェ in OCC(お茶の水クリスチャン・センター)』に赴いた(添付)。『お茶の水メディカル・カフェ』は、東日本大震災の2011年に創設準備がなされ、2012年に当時OCC副理事長であった今は亡き榊原寛先生(79歳で2020年12月24日ご逝去された)が始められた(添付)。 筆者は、『順天堂大学医学部 病理・腫瘍学教授』時代の2012年5月26日に第1回『お茶の水メディカル・カフェ』に出席した。

今回、筆者は大嶋重徳先生(OCC副理事長)との対談の機会が与えれた。【1919年パリ講和会議が開催されている頃、『スペインかぜ』がフランスでも猛威をふるっていて、パンデミック(世界流行)で、感染者6億人、死者4,000万~5,000万人にも達したと推定されていると、以前に聞いたものである。 そのとき、新渡戸稲造(1862 - 1933)はパリにいて、その後、国際連盟事務次長に就任している。 ドーマス・カーライル(Thomas Carlyle: 1795 - 1881)の影響を受けた新渡戸稲造『common sense(社会常識)を備えもった柔軟性のある人格者』と謳われている。『コロナ時代の生き方』が問われている現在、『新渡戸稲造なら、何と語るのであろうか?』

筆者は、以前、勝海舟(1823-1899)の屋敷があった赤坂で講演に呼ばれた。『やるだけのことはやって、後のことは心の中で、そっと心配しておれば良いではないか。 どうせなるようにしかならないよ』(勝海舟)の言葉が蘇る日々である。 母を亡くして 悩んでいるクララ・ホイットニー(Clara Whitney;1860-1936)に対して、勝海舟の妻(民子1821-1905)の言葉『悲しい時には 私達の所へいらっしゃい、一緒に泣きましょう、そしてあなたが 仕合せな時には 一緒に笑いましょう。 さあ勇気をお出しなさい、—— これから先の長い年月のことは考えず、今日という日以外には 日がないと思って ただ毎日をお過ごしなさい』は、『訪れる人を 温かく迎い入れる= がん哲学外来の心得』でもあろう。『涙とともに パンを食べた者でなければ 人生の味は分からない』(ゲーテ:Johann Wolfgang von Goethe、1749-1832)&『アルプスの少女ハイジ』の現代的意義:喜んで無邪気に小さなことに大きな愛を込める】をさりげなく語った。