「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第375回「心に咲く花会」 『病理・がん哲学』〜 『生物学の法則+人間学の法則』 〜

2024年10月3日、千葉県新浦安の『浦安・日の出キャンパス』にある順天堂大学健康データサイエンス学部の1年生の講義『病理・がん哲学』に向かった。 電車の中から『デズニーランド』を観た。 心が大いに慰められた。

【私は、クボタショックの2005年、順天堂大学で『アスベスト中皮腫 外来』を開設する機会が与えられた。 そして、2008年、順天堂大学で『がん哲学外来=患者さんや そのご家族と面談し、苦しみを和らげる』が開設された。 『医療者と患者の隙間を埋める=First Contact Team =がん哲学』の時代的要請を痛感する日々である。『がん哲学外来』は、『“がん”も単なる個性 〜 患者さんに寄り添い、対話を 〜』を実践し、『相手を思いやる心』&『患者に対する慈愛の心』の姿勢を貫いて『純度の高い専門性と社会的包容力 〜 病気であっても、病人ではない 〜』社会構築を目指す。】と語った。

『がん哲学』(2011年3月31出版社 EDITEX (添付)を紹介した。【『広々とした病理学』とは、『病理学には限りがないことをよく知っていて、新しいことにも自分の知らないことにも謙虚で、常に前に向かって努力しているイメージ』】 であると、癌研での出会いの菅野晴夫(1925-2016) 先生の言葉も紹介した。

1.世界の動向を見極めつつ歴史を通して今を見通せるようになる。

2.俯瞰的に『がん』の理を理解し『理念を持って現実に向かい、現実の中に理念』を問う人材となる。

3.複眼の思考を持ち、視野狭窄にならず、教養を深め、時代を読む『具眼の士』の種蒔く人材となる。

【『がん』研究の目的は、『人のからだに巣食ったがん細胞に介入して、その人の死期を再び未確定の彼方に追いやり、死を忘却させる方法を成就すること』である。『適時診断と的確治療』の実現である。 『がん哲学 = 生物学の法則+人間学の法則』である! 】と述べた。 多数の質問もあり、真摯な学生の姿勢には大いに感激した。 大変有意義な充実した時であった。