「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第387回「心に咲く花会」 『世界観 & 人生観』 〜 日常の決断や行動を決定する 〜

2024年12月6日、病理医としての定例の病理組織診断業務に赴く。【『病理学』=『形態』&『起源』&『進展』などを追求する学問分野】である。【病理組織診断=『風貌を診て、心の状況まで読む』&『生物学と人間社会』】でもある。

クボタショックの2005年、順天堂大学医学部附属順天堂医院で『アスベスト中皮腫 外来』を開設する機会が与えられた。 そして、2008年、『がん哲学外来=患者さんや そのご家族と面談し、苦しみを和らげる』が開設された。 臨床医でない病理学者である筆者が『がん哲学外来』を創設出来た原点は、『病理学+人間学=がん哲学=人生の根幹を追求する=がん哲学外来』であろう(添付)。 そして、筆者は【がん病理学者が読む聖書『ヨブ記』 〜 なぜ、こんな目に あわなければ ならないのか 〜】(2023年10月15日 いのちのことば社 発行)を出版する運びとなった(添付)。

『がん病理学者』が『がん』 をどの様に考えるかは、とても大切なことである。当然がん研究者だけのものでなく、一般社会の人々の為の学問でもある。 なぜなら『がん』に対する概念が世界観、人生観、ひいては日常の決断や行動をも時には決定するからである。『がん』の『起源』 と『進展』を学ぶことは、ある意味では 【人生の『意義』と『目的』の『静思』】へとも導くものと考える。

筆者は、アメリカのFox Chase Cancer CenterのKnudson博士(1922-2016)の下で『遺伝性腫瘍』を学んだ(1989-1991)。 そして『癌研究所所長:菅野晴夫(1925-2016)先生』に癌研究所実験病理部部長 (1991-2004)に呼ばれ帰国した。 原田明夫(1939-2017)検事総長とは、2000年に『新渡戸稲造(1862-1933)武士道100周年記念シンポ』、さらに『新渡戸稲造生誕140年』(2002年)、『新渡戸稲造没後70年』(2003年)、順天堂大学教授に就任(2003年)し2004年には、国連大学で『新渡戸稲造 5000円札さようならシンポ』を企画したのが 走馬灯のように駆け巡ってくる。

【病理学―>がん哲学―>がん哲学外来】の人生の流れを痛感する日々である。