「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第397回「心に咲く花会」 丁寧な大局観 〜 純度の高い専門性+社会的包容力 〜

2025年1月28日 ひばりヶ丘駅ー>池袋駅ー>大宮駅ー>福島駅で、『吉田富三記念 福島がん哲学外来』(福島県立医科大学附属病院臨床腫瘍センターがん相談支援センター)に向かった。 行きの新幹線の車内から 雪の積もる山脈を眺め 心が慰められた。『吉田富三記念 福島がん哲学外来』では、大変貴重な個人面談の機会が与えられた。 筆者の本を読みたいとのことである。 感激した。

筆者は、2月5日 福島県立医科大学での『令和6年度第10回臨床腫瘍セミナー』で講演『丁寧な大局観 〜 風貌を見て、心まで診る〜』を依頼された(添付)。

講演趣旨:【電子計算機時代だ、宇宙時代だといってみても、人間の身体のできと、その心情の動きとは、『昔も今も変わってはいない』のである。 超近代的で合理的といわれる人でも、病気になって自分の死を考えさせられる時になると、太古の人間にかえる。 その医師に訴え、医師を見つめる目つきは、超近代的でも合理的でもなくなる。 静かで、淋しく、哀れな、昔ながらの一個の人間にかえるのである。 その時の救いは、頼りになる良医が側にいてくれることである】(吉田富三:1903 -1973)の言葉

講演会には、吉田富三記念館のスタッフの4名の方も参加され、講演会の前に面談の希望とのことである。『吉田富三記念 福島がん哲学外来』は、福島県出身で『吉田肉腫』&『腹水肝癌』の発見などで世界的に知られ、文化勲章を受けた病理学者:吉田富三を記念して、2009年に福島県立医科大学で開設された。

筆者は、医師になり、癌研究会癌研究所の病理部に入った。 当時の癌研究所所長であった菅野晴夫先生(1925-2016)の恩師である日本国の誇る病理学者:吉田富三との『邂逅』に繋がった。 菅野晴夫先生とは、2003年『日本病理学会』と『日本癌学会』で『吉田富三生誕100周年記念事業』を行う機会が与えられた。『がん哲学=生物学+人間学』の提唱へと導かれた。『がん哲学外来』は、【病理学者の2つの使命=純度の高い専門性+社会的包容力】であろう。

帰りは、壮大な夕焼けを観賞した。 大変有意義な『福島の旅』となった。