2025年10月9日 順天堂大学院医学研究科博士課程『腫瘍医学』の講義【がん研究の最前線Cancer Research and Education:キーワード:・がん哲学・遺伝性がん・環境発がん:Keywords:・Cancer Philosophy・Hereditary Cancer・Environmental Cancer】に赴く。 10月6日の講義は【『イントロダクション Introduction』: 『「オーバービュー・がん研究の歴史:Carcinogenesis」キーワード:山極勝三郎(1863-1930)・吉田富三(1903-1973)・Knudson(1922-2016)】であった。
想えば、筆者は医学部を卒業して癌研で研究をスタートした。 米国アインシュタイン医科大学肝臓研究センター(ニューヨーク)留学(1984-1985)が与えられた。 その時の研究テーマは『化学物質による化学肝発がん & B型肝炎ウイルス(HBV)によるウイルス肝発がん機構』であった。 日本には、【山極勝三郎『人工発がん』(1915)、吉田富三『肝がん創成』(1932)】の業績がある。 『日本は化学発がんの創始国』である。 20世紀は『がんを作る』時代であった。 21世紀は『がんを遅らせる研究』で、再び日本は世界に貢献する時ではなかろうか!
さらに米国フォクスチェース癌センター(フィラデルフィア)の留学時代(1989-1991)に『遺伝性がんの父:Knudson博士』との出会いが与えられ『遺伝性がん研究』へと進み、その流れから発見した遺伝子から『中皮腫診断キット』を開発した。 2005年の『クボタ・ショック』の直後、思わぬ展開となり 順天堂大学で本邦初の『アスベスト・中皮腫外来開設』となった。
『アスベスト・中皮腫外来』で、医療者と患者の『対話』の重要性を認識し、『がん研究』で得られた科学的思考を持って、【『がん』に哲学的な考え方を取り入れていくという立場で医療現場と患者の間にある『隙間』を埋め、対話の中で病気の不安や悩みの解消を図るために、 2008年に順天堂大学で『がん哲学外来(Cancer Philosophy Clinic)開設』】(添付)に繋がるとは、自分の思いを超えた まさに『見えざる手の導き』を実感する日々でもある。 本当に『不思議な人生体験の連続』である。
