「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第376回「心に咲く花会」 人間社会を語る 〜 細胞の知恵に学ぶ 〜

10月7日 いのちのことば社の砂原俊幸氏よりオンラインセミナーの再配信 特集ページhttps://www.gospelshop.jp/shopbrand/ct522/ (添付)が届いた。

【死を意識して生きる希望: 病理学者として がんに向き合ってきた医師、樋野興夫氏は、全国で『がんカフェ』を展開し、がん患者の苦悩を和らげる活動を行なっています。また、小澤竹俊医師は、横浜で終末期の在宅医療を行う傍ら、ホスピスマインドを生かして、同じ地域に住む苦しむ人に手を差し伸べる人材を育てる活動も行っています。不治の病などに苦しむ人に寄り添うお二人に、死を起点に人生を考える先にある希望について語っていただきます。】と紹介されている。

10月9日は、順天堂大学修士課程講義(英語の授業) に赴いた。【Overview of Human Pathology and Oncology 病理腫瘍病態学概論】で、授業のタイトル:『Cancer がんの定義、自然史と介入』で、受講生は、中国の大学からの留学生であった。『がん哲学』(2004年3月7日発行to be出版)の中国語訳(添付)を入手したいとの希望がありプレゼントした。

【<はじめに> 筆者は2003年、がんの本態解明に道を切り開いた、世界に誇るがん病理学者吉田富三の『生誕百年記念事業』に明け暮れた。 本書は、筆者の青春期の起点であった南原繁(戦後最初の東大総長)の『政治哲学』の提唱に倣い、『科学としてのがん学』を学びながら、『がん学に哲学的な考えを取り入れていく領域がある』との立場に立ち、『がん哲学』を提唱する者である。

第一章 がん細胞の世界から人間社会を語る

第二章 がん細胞の知恵に学ぶ

第三章 先人の志を継承しつつ

第四章 病理学の復権を 】

 

第375回「心に咲く花会」 『病理・がん哲学』〜 『生物学の法則+人間学の法則』 〜

2024年10月3日、千葉県新浦安の『浦安・日の出キャンパス』にある順天堂大学健康データサイエンス学部の1年生の講義『病理・がん哲学』に向かった。 電車の中から『デズニーランド』を観た。 心が大いに慰められた。

【私は、クボタショックの2005年、順天堂大学で『アスベスト中皮腫 外来』を開設する機会が与えられた。 そして、2008年、順天堂大学で『がん哲学外来=患者さんや そのご家族と面談し、苦しみを和らげる』が開設された。 『医療者と患者の隙間を埋める=First Contact Team =がん哲学』の時代的要請を痛感する日々である。『がん哲学外来』は、『“がん”も単なる個性 〜 患者さんに寄り添い、対話を 〜』を実践し、『相手を思いやる心』&『患者に対する慈愛の心』の姿勢を貫いて『純度の高い専門性と社会的包容力 〜 病気であっても、病人ではない 〜』社会構築を目指す。】と語った。

『がん哲学』(2011年3月31出版社 EDITEX (添付)を紹介した。【『広々とした病理学』とは、『病理学には限りがないことをよく知っていて、新しいことにも自分の知らないことにも謙虚で、常に前に向かって努力しているイメージ』】 であると、癌研での出会いの菅野晴夫(1925-2016) 先生の言葉も紹介した。

1.世界の動向を見極めつつ歴史を通して今を見通せるようになる。

2.俯瞰的に『がん』の理を理解し『理念を持って現実に向かい、現実の中に理念』を問う人材となる。

3.複眼の思考を持ち、視野狭窄にならず、教養を深め、時代を読む『具眼の士』の種蒔く人材となる。

【『がん』研究の目的は、『人のからだに巣食ったがん細胞に介入して、その人の死期を再び未確定の彼方に追いやり、死を忘却させる方法を成就すること』である。『適時診断と的確治療』の実現である。 『がん哲学 = 生物学の法則+人間学の法則』である! 】と述べた。 多数の質問もあり、真摯な学生の姿勢には大いに感激した。 大変有意義な充実した時であった。

 

 

 

 

 

第374回「心に咲く花会」 『偉大なものの源流』 〜 『大切なものの本質』 〜

2024年9月26日、2009年からスタートした『柏がん哲学外来』(千葉県柏市豊四季台の柏地域医療連携センター)に於いた(添付)。【がんの悩みを病院の外で心置きなく話がしたい がん哲学外来は、がん患者、経験者、ご家族の為の対話の場です。がん哲学外来を提唱された樋野興夫先生とゆっくり語り合ってみませんか? 】と紹介されている。今年は、『柏がん哲学外来』15周年である。

終了後は、『柏がん哲学外来の代表世話人』の『がん哲学外来あびこカフェの店長』(千葉県我孫子市)である中野綾子(ピグミーマーモセット)氏とスッタフの皆様と楽しい昼食の時を持った。 大いに話が盛り上がった。

想えば、2009年 国立がんセンター東病院の 柏の葉キャンパスで、『がん哲学外来』を始めた時、国立がんセンター総長 杉村隆(1926-2020)先生に 応援して頂いたのが、大いなる喜びであった。 アメリカ時代の恩師 Knudson(1922-2016)博士も『Cancer Philosophy/ Cancer Philosophy Clinic』の筆者の造語に、大変興味を持って頂いた。 そして、今の『がん哲学外来』の継続に繋がっている。『偉大なものの源流』 & 『大切なものの本質』の学びの日々である。

筆者は、以前、勝海舟(1823-1899)の屋敷があった赤坂で講演に呼ばれた。 勝海舟の『蚤や虱だと思えばいいのさ。 肩につかまって、チクリチクリと刺しても、ただ痒いだけだ、生命に関りはいないよ』(『海舟座談』)【新渡戸稲造(1862-1933):『武士道』(114ページ;矢内原忠雄(1893-1961)訳 岩波書店)】を今回語った。 まさに、『心に響く言葉の処方箋』である!

【『人類は『なぜ、永遠に生きられないのか?』、『生きて120年』。何故、イブは蛇の誘惑に負けたのか!?『アダムは930歳、ノアは950歳、アブラハムは175歳、モーセの時代から120歳』】を、『冗談ぽく』さりげなく語った。『がん哲学 = 生物学の法則+人間学の法則』である! 人間の『誕生と成長』でなく『哀れとむなしさ』を 起点とする病理学者は、『真理そのものに 悲哀性がある』の学びでもある。

 

 

 

 

第373回「心に咲く花会」 『胆力と気概』 〜 『把握、洞察、視野の広さ、優雅、力強く』 〜

2024年9月19日 筆者が、センター長を務める【新渡戸稲造(1862-1933)記念セ

ンター(2019年設立) in 新渡戸記念中野総合病院(1932年創立:初代理事長:

新渡戸稲造】に寄り、東京女子大学での(1918年開学 初代学長:新渡戸稲

造)の評議員会、理事会に赴く。

新渡戸稲造は、農学者、教育者である。 南部藩士の三男として盛岡に生まれる。札幌農学校に入学し、欧米に留学し、メアリー・エルキントンと結婚する。 帰国し、札幌農学校の教授になる。 英語で『武士道』を出版し、第一高等学校長などを歴任する。 『太平洋の橋たらん』との信念を持ち、国際連盟事務次長に就いた(1920-1926)。 筆者は『太平洋の橋たらん』から『把握、洞察、視野の広さ、優雅、力強く』を学び、『われ21世紀の新渡戸とならん』(2003年発行)を出版したものである(添付)。

9月20日は、筆者は、日本癌学会名誉会員である【第83回日本癌学会学術総会(学術会長:九州大学医学部第一内科教授 赤司浩一先生) 福岡国際会議場 & マリンメッセ福岡B館】に参加する。『懇親会』にも出席する。

サバイバー・科学者プログラム(JCA-SSPプログラム)で、渡會明香氏が、演題『がん哲学外来と私』を発表される。 まさに、『種を蒔く人の実践』であろう。【新渡戸稲造の精神:基にした医療を実践し、疾病を抱えた人を真心で支援する』&『心温まるおもてなし・賢明な寛容性』&『あらゆる人々が立場を超えて集う交流の場』&『他人の苦痛に対する思いやり』】の学びである。

『言葉の処方箋の5ヶ条』

1)『暇げな風貌』の中に、『偉大なるお節介』を有する『胆力と気概』の習得

2) 空の上から自分を見る視点を持った『当事者研究』の推進

3) 言葉の大切さ、重み、対話のあり方を学ぶ人材の育成

4) 愛がなければ全ては無意味

5)愛に溢れた雰囲気

 

 

 

 

第372回「心に咲く花会」 『心にかけて記憶する』 〜 『出会い』と『ビジョン』 〜

2024年9月14日『新座志木がん哲学外来・カフェ代表:岸尾光先生』(新座志木バプテスト教会の牧師)の主催『第7回がん哲学外来市民学会認定コーディネーター アドバンスコース』(埼玉県ふじみ野市 東京国際学園 研修センターに於いて)に出席した。 筆者は、『がん哲学外来市民学会代表』として『総評』の機会が与えられた。 参加者の【『樋野動物園』の『春風のようなゴリラ🦍』(目白がん哲学外来カフェ代表 森尚子氏)と『ピグミーマーモセット』(がん哲学外来あびこカフェの店長 中野綾子氏)=『美女姉妹』】に さりげなく下記の宿題を当てた。

☆「いぬのおまわりさん」の現代的意義をのべよ !
→何の解決もしないが、一緒に困ってくれる人がいることで慰められる
☆「ドラえもん」の現代的意義をのべよ !
→どんな境遇に関らず、靴を履いて外に出ると何か(出会い)が与えられる
☆「アルプスの少女ハイジ」の現代的意義をのべよ !
→喜んで 無邪気に 小さなことに 大きな愛を込める
☆「サザエさん」の現代的意義をのべよ !
→ビジョンが明確であれば人はついてくる(手伝ってくれる)。

早速、岸尾光先生から【樋野先生:先生のお言葉は、いつもシンプルながら心に響いて届きます。居合術のようで、武士道精神を体現しておられると思いました。あらためて感謝申し上げます。】との心温まる、励ましのメールを頂いた。 筆者は【『冗談を本気でする胆力』で『新渡戸稲造(1862−1933)の真似』ですね!】と返事した(添付)。【常に志を忘れないよう心にかけて記憶することである】

新渡戸稲造は、農学者、教育者。南部藩士の三男として盛岡に生まれる。 札幌農学校に入学し、欧米に留学し、メアリー・エルキントンと結婚、札幌農学校の教授に。 英語で『武士道』を出版し、第一高等学校長などを歴任。『太平洋の橋たらん』との信念を持ち、国際連盟事務次長に就いた(1920-1926)。 著書に『新渡戸稲造全集』(教文館)、『新渡戸稲造論集』(岩波書店)などがある。

第371回「心に咲く花会」 格調高い お褒めの言葉 〜 吸引力・求心力 〜

2024年9月8日 『ひばりヶ丘駅―>池袋駅―>新宿駅―>甲府駅』に向かった。 電車の中から、富士山は、雲で観えなかったが、外の風景(森林、畑け)を眺め 心が大いに慰められた。『山梨ホスピス協会』理事長 阿部文明先生(山梨県立中央病院緩和ケア科医師)が、甲府駅に自家用車で、迎えに来てくださり、甲府市総合市民会館での【がん哲学外来メディカルカフェ『風林火團』】に到着した。 筆者は、講演『言葉の処方箋』の機会が与えられた。 大変、貴重な時となった。

早速、主催者の中村由喜氏(添付)から、【樋野先生 ありがとうございました。 樋野先生の大ファンの方々が たくさんのあたたかい贈り物をいただきました。 先生、ありがとうございました & 樋野先生 格調高い、すごく嬉しいお褒めの言葉です。 本当に樋野動物園にいれてくださるのですね!】とのニューモア溢れる心温まるメールを頂いた。 たちまちにして、【みわたせない キリン】と決定された。 まさに、『樋野動物園 = 教育・知的交流・吸引力・求心力』である。 大いに感動した。

2024年9月9日『ひばりヶ丘駅―>池袋駅―>新宿駅―>経堂駅』から恵泉女学園に赴いた。

帰宅して、生命科学連携推進協議会研究支援(代表:武川睦寛 東京大学医科学研究所教授)のZoom「令和6年度 生命科学連携推進協議会 外部評価委員会」に出席した。 有意義な、学びの時となった。

1)あらゆる人々が立場を超えて交流

2)空の上から自分を見る視点

3) 『先見性・力量・胆力』のある科学者の育成

『純度の高い専門性と社会的包容力の社会構築』は、これからの人類の進むべき方向となろう。

 

 

 

 

 

第370回「心に咲く花会」 対話できる資質 〜 ゆったりとした笑顔 〜

2024年9月3日朝、【アルベルト・アインシュタイン(Albert Einstein、1879-1955)(1921年ノーベル物理学賞 受賞)の言葉『Life is like riding a bicycle. To keep your balance you must keep moving(人生とは自転車のようなものだ。 倒れないようにするには 走らなければならない。)』&『人生いばらの道 されど宴会』(順天堂大学名誉教授 樋野興夫)の実践からの気づきの場が 人生そのものと感じられる 今日このごろです。】との心温まる励ましのメールが送られて来た。 大いに感動した。

新渡戸稲造(1862-1933)が国際連盟事務次長時代(1920〜1926)に設立したのが『知的協力委員会』(1946年に創設されたユネスコ国際連合教育科学文化機関〕の前身)である。 【世界中の叡智を集めて設立した『知的協力委員会』には 哲学者のベルグソン(1859-1941)や 物理学者のアインシュタインキュリー夫人(1867-1934) など『超一流の碩学(せきがく)の12名の委員』で構成されている。 各国の利害調整にあたった。 新渡戸稲造が1922年7月に初会合をジュネーブで開催している。『教育・学問・芸術・知的交流を通して、世界の平和』を 増進しようとするものであった。】 あのキューリー夫人も出席した委員会をリードした新渡戸稲造の『人格的な吸引力・求心力』は、現代にも必要な『風貌』ではなろうか !?

9月3日午後は、名古屋での第47回『日本がん疫学・分子疫学研究会(The Japanese Society of Cancer Epidemiology)大会長:若井建志先生(名古屋大学大学院医学系研究科予防医学分野教授)』に参加した(『ウインクあいち』に於いて)(添付)。 大変、有意義な、学びの時であった。 夜の【情報交換会】も貴重な時となった。

翌日は、名古屋で〈『がん哲学外来』を主催されている美女7姉妹 = 快活な笑顔で、ゆったりとした雰囲気で 対話できる資質〉 と 『JRセントラルタワーズ13F』で昼食の時を持った。 会話が大いに弾み、今回は『忘れ得ぬ名古屋の旅』となった。