第29回『一億本の向日葵』
~たまたまの出会い、心に咲く花の種~
3月20日㈬、ABN長野朝日放送主催 信州がんプロジェクト特別試写会~ドキュメンタリー映画『がんと生きる 言葉の処方箋』~が開催され、200名を超える方が参加されました。会場からは、時に鼻をすする音、時に笑い声が聞こえました。きっと多くの方が、どこか自分や大切な人の姿を重ねながら、この映画を観て下さったのだと思います。その翌日21日には、八ヶ岳伝道所で開設された「八ヶ岳がん哲学外来メディカルカフェ」の記念すべき第1回が開催され、私も含め松本がん哲学みずたまカフェからは3名参加させて頂きました。「八ヶ岳でがん哲学外来メディカルカフェを開きたい!」とご自身のがんと向き合い、治療をしている一人の女性の願いに、伝道所の皆さんが想いを寄せ、作り上げた手作りのとても温かいカフェに、心から感動致しました。そして週末には、4年間お世話になった息子の保育園の卒園式。本当に、多くの事を思う一週間となりました。
人と人との出会い。人と出来事の出合い。
思い返してみると、本当に不思議だな・・と思います。どちらも自分が意図したものはごく一部であり、ほとんどがたまたまです。そして、私たちはそのたまたまの流れに乗りながら、様々な事を感じ、学び、また次の流れを選んでいきますが、これもまた選んでいるような気がするだけかもしれません。それでも、その中で、私たちは喜びや楽しみ、悲しみや苦しみなど、心を、人生を豊かにするたくさんの感情を体験させてもらえます。病など、困難な出来事との出合いの中には、心を、人生を豊かにする種がより多く植わっているように思います。歩むペースがゆっくりになるので、健康な時よりも、その種の存在に気付きやすいのかもしれません。樋野先生は、言葉の処方箋を通して、下ばかり見ていた視線を上げ、それぞれの種から開花した花々に目をやることを教えて下さいます。そこにあるものに気付かせて下さいます。私は、メディカルカフェなどで、その花々のお話を聴かせてもらうのが大好きです。話をしながら開花していく様子を見るのもとても心躍ります。悲しみや苦しみの種の状態であったとしても、その土を肥やし、いつか芽を出すその花を一緒に待つ。それも喜びです。2019年3月21日、八ヶ岳がん哲学外来メディカルカフェで見た笑顔は、心に残る一生の思い出となりました。
ひまわり担当🌻齋藤智恵美