「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第342回「心に咲く花会」 『からし種』 〜 『医療の扉を開く』〜

2024年4月10日 順天堂大学保健医療学部 診療放射線学科2年生の授業『病理学概論』vs『がん医療学科』と大学院生の授業『がんの定義、自然史と介入』に赴いた。『病理学』とは、『顕微鏡を見て病気を診断する=森を診て木の皮まで診る=風貌を見て、心まで読む=丁寧な観察力の修練』であると述べた。 多数の出席者で、真摯な姿勢で、質問もあり、大いに感動した。

『がん細胞の病理』と『人間社会の病理』の類似性が、2001年の『がん哲学』の提唱の原点で、2008年 順天堂大学病院で【『病気』であっても『病人』ではない社会の構築】を目指して『がん哲学外来』(添付)が開設されたと語った。

『がん遺伝子vsがん抑制遺伝子』・『交感神経vs副交感神経』について、【真理は円形にあらず、楕円形である。 一個の中心の周囲に描かるべきものにあらずして、二個の中心の周囲に描かるべきものである。】(内村鑑三)と説明した。

【医療の発祥:『最も剛毅なる者は最も柔和なる者であり、愛ある者は勇敢なる者である』とは、『高き自由の精神』を持って医療に従事する者への普遍的な真理であろう。『他人の苦痛に対する思いやり』は、医学、医療の根本である。

『訪れる人を 温かく迎い入れる』が医療者の原点でもあろう。】と伝えた。

『医療者の2つの使命』

1)『学問的、科学的な責任』で、病気を診断・治療するーー>学者的な面

2)『人間的な責任』で、手をさしのべるーー>患者と温かい人間としての関係

からし種=どんな種よりも小さいのですが、成長すると、どの野菜よりも大きくなり、空の鳥が来て、その枝に巣を作るほどの木になります』。これは『時代を超えて、時代を愛する=がん哲学 & がん哲学外来』の原点である。『21世紀の医療の扉を開く』となろう。

大変充実した有意義な貴重な『授業=3連チャン症候群』の1日となった。