「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第238回「心に咲く花会」 使命を自覚して 〜 任務を確実に果たす 〜

2023年1月20日筆者は、病理医としての病理診断業務を終えて、出版関係者と東久留米ジョナサンで旧約聖書の『ヨブ記』について面談の時を持った。『悩める時、つらい時、悲しい時』の心得ではなかろうか !? 『がん病理学者としての ことばの処方箋』が話題になった。【『病気であっても、病人ではない』、『苦悩は忍耐を、忍耐は練られた品性を、練られた品性は希望を生み出す』、『八方ふさがりでも天は開いている』】などなど。 大変充実した貴重な時となった。 副題として『ヨブに学び』の新刊が実現されたら時代的大事業となろう!

 

2023年1月21日午前中は、大田区立調布大塚小学校の校長:玉野麻衣先生の依頼で、授業と教員・保護者対象講演会(10:15-11:45)に赴く。【保護者のオンライン参加も想定して準備を進めているところです。】とのことである. 午後は『がんカフェ立川駅前特別講演会』に向かう。【タイムテーブル「先生の講演は13:35〜14:30の55分、質疑応答は、14:30〜14:40の10分。14:40〜15:20は、20分を1枠としてお二人の個人面談をお願いしたいと思っています。】とある(添付)。 筆者は、臨床医ではなく、『がんを研究する病理学者』の道を選んだ。 患者と話を始めたのは 2005年 日本で初めて順天堂大学で『アスベスト中皮腫外来』を開設したことが、人生の大きな転機になった。 外来で患者に接し、医療者と患者との『対話』の重要性を再認識し『哲学的なアプローチ』が必要だとの思いに至った。 そして2008年、順天堂大学で患者たちと語り合う対話型の『がん哲学外来』を開設した。『人間には与えられている役割や使命があります。 他人と比較したり、競争する必要はありません。 自分にしかできないことと 自分以外の誰かができることを明確にする。』と、最近、雑誌のインタビュー取材で語った。

【「正常細胞は、使命を自覚して任務を確実に果たす、自己制御と犠牲の上で生きている細胞であるが、がん細胞はこの目標を見失って、増殖することに長けた細胞に変貌しているということである = 顕微鏡でみた癌細胞の映像に裏打ちされた『哲学』=『がん細胞で起こることは人間社会でも起こる』】と【『医師は生涯書生』・『医師は社会の優越者ではない』・『医業には自己犠牲が伴う』】(吉田富三:1903-1973)は、まさに 現代にも生きる『医師の3ヶ条』であろう!


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