「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第290回「心に咲く花会」 『人格医学』 〜 真心に触れる 〜

2023年9日6日『モリユリ・ミュージック・ミニストリーズ』の森祐理氏の企画で『ラジオ関西』の番組『モリユリのこころのメロデイ』の収録に赴いた。 横山郁子先生(神戸薬科大学総合教育研究センター)が新神戸駅に出迎えて下さり、横山郁子先生の運転で『ラジオ関西』に向かった。 ただただ感謝である。

横山郁子先生には、今年5月28日 第16回『日本緩和医療薬学会年会』(テーマ:持続可能な発展に向けた緩和医療薬学の未来予想図を描く)のシンポジウム【『もっと自由であっていい! がん教育』】(神戸国際会議場)で、筆者は、講演【『多様性のある居場所』 ~ 賢明なる配慮 ~】の機会が与えれた。

森祐理氏のオープニングトーク『今日は、ガン哲学外来創設者、順天堂大学名誉教授の樋野興夫先生をゲストにお迎えし、お話をお伺いします。』でスタートされた。『ラジオ関西』のスタッフの皆様の心温まる配慮にも感服した(添付)。

今回、ポール・トゥルニエ(Paul Tournier:1898-1986)が、鮮明に思い出された。 Paul Tournierは、スイスの精神科医で、『医者と患者の人格的なふれあい』を重視し、『人格医学』の提唱者であったとされる。 筆者は医学生の時、Paul Tournier著『聖書と医学』を通読した。 1977年Paul Tournierが来日の時、神戸で、聴講した。『医師の2つの使命』(下記)については、Paul Tournierから学んだものである。 そして、今の『がん哲学 & がん哲学外来』に繋がった。 『不思議な人生の出会い』となった。

① 「学問的、科学的な責任」で、病気を 直接治療する —→ 学者的な面

② 「人間的な責任」で、手をさしのべる ―→ 患者と温かい人間としての関係

2008年に始まった『がん哲学外来』の体験から『対話を通じて人の真心に触れると、そこには、本来的なもの、根源的なもの、神的なものの片鱗が直観的に感じ取れる』(『生きる意味』Paul Tournier 来日講演集 1978年 山口實訳より)を実感する日々である。 今回は、大変有意義な充実した貴重な『神戸の旅』となった。