「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第341回「心に咲く花会」 『興す』 〜 『丁寧な社会の構築』 〜

2024年4月5日 病理組織診断業務に赴いた。『顕微鏡を見て病気を診断する=森を診て木の皮まで診る』実践である。【『病理医』は『形態』&『起源』&『進展』などを追求する医学者】である。『丁寧な観察力の修練』の日々である。

4月6日は『市ヶ谷だいじょうぶ!カフェ』に赴いた(添付)。 多数の参加者であった。 親子で小学生6年生も参加されていた。 大いに感激した。 【講演と質疑応答(60分)】では、会場から多数の質問があった。【『医師になった理由』&『病理医になった理由』】も問われた。

【筆者は幼年時代から母:樋野壽子(1923年2月20日〜2019年6月3日)に『誕生の年の初夢に富士山を見た』と育てられ『富士山』(添付)には特別な思いがある。 幼年時代のインプリンテイングは生涯に影響を与える様である。 そもそも筆者の名前は、息子を先の戦争でなくした祖父が、家を継いだ末娘(母)の3人の子供(誉・誠・興夫)の末っ子の長男:筆者に『家を興す』の願いを込めて名付けたと、祖父の膝に抱かれて聞かされた幼年時代(3歳)の想い出が、鮮明に脳裏に蘇る。『興』は、『国を興す 産業を興す 振興 興起 興隆 再興 復興』などなど! そして『われ Origin of fire:樋野興夫(ひの おきお=火のおきを!):たらん』(to be 出版 2005年)(添付)の発行が実現したものである。】
筆者の故郷(島根県出雲市大社町鵜峠;添付)は、人口37名、空き家60%であり、会話(『臨床医』)ではなく、細胞との対話(『病理医』)を選んだと語った。

『風貌を見て、心まで読む』のが病理診断であり、顕微鏡観察は『がん哲学=癌細胞の病理と人間社会の病理=生物学と人間社会』の原点である。 臨床医でない病理医が『がん哲学外来』を創設出来た原点は、『病理学+社会学=がん哲学外来』である。『がん細胞の病理』と『人間社会の病理』の類似性が、2001年の『がん哲学』の提唱の原点である。 つまり、【『生物学の法則』+『人間学の法則』=『がん哲学』】である。 そして、2008年 順天堂大学病院で【『病気』であっても『病人』ではない社会の構築】を目指して『がん哲学外来』が開設された。