「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第340回「心に咲く花会」 『前進的である』 〜 『種を蒔く』 〜

2024年4月1日 恵泉女学園(世田谷区の経堂)―>新渡戸稲造記念センター(中野区)に赴いた。 筆者は新渡戸稲造(1862-1933)から学んだ河井道(1877-1953)が創立(1929年)した恵泉女学園の9代目理事長を拝命することになった。 河井道は自著『わたしのランターン』という著書の中で、【前向きで、前進的であること】&【時がくると、それは別の手へとひき継がれて、さらに先へと運ばれていくであろう。】と記述している。

女子教育に大いなる理解を示した新渡戸稲造東京女子大学 初代学長)が、河井道、津田梅子(1864―1929;女子英學塾 創立者)、安井てつ(1870-1945;東京女子大学 第2代学長)を援護した三人に共通するのは『種を蒔く人になりなさい』の実践であろう。 筆者は、東京女子大学の理事も仰せつかっている。

筆者は、内村鑑三(1861-1930)の『後世への最大遺物』から学んだ【大いなる人物というのは、収穫物というのは、存命中に実を結んだものだけではない。 故に後世に生まれた我々がこれを『温故』し『創新』することによって現代に貢献できる。 これは『勇ましき高尚なる生涯』である。『勇ましき高尚』の『高尚』とは、人のために、我を忘れてやるものが高尚であり、『勇ましき』というのはイエスかノーかをはっきり言えることであろう。】が想い出される日々である。

筆者は、小学校の卒業式で来賓が話された『ボーイズ・ビー・アンビシャス』(boys be ambitious)(1877年 札幌農学校ウィリアム・スミス・クラークWilliam Smith Clark:1826-1886)博士の言葉)が胸に染み入り、希望が灯るような思いを受けたものである(添付)。 筆者の人生の起点であると言っても過言ではない。 札幌農学校におけるクラーク精神が、内村鑑三新渡戸稲造へと導かれ、英文で書かれた『代表的日本人』(内村鑑三)と『武士道』(新渡戸稲造)は、若き日から筆者の座右の書となった。 2007年からこの2冊の本の読書会を毎月継続的に行なっている。

【昔の命題は、今日の命題であり、将来のそれでもある。】の実感である。