「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第113回「心に咲く花会」「一貫して流れる不思議な旅」〜 日常の行動 〜

第113回「心に咲く花会」

「一貫して流れる不思議な旅」〜 日常の行動 〜

今日は、台風14号で、大雨の中、菊名での講演に向かう。  最近、筆者は、『がん病理学者の社会貢献』 を静思する日々である。  [『がん病理学』 は「がん」に関しての学問で、 『形態』 、 『起源』、 『進展』などを追求する学問分野である。  当然がん研究者だけのものでなく、一般社会の人々の為の学問でもある。  がん病理学者が『がん』 をどの様に考えるかは、とても大切なことである。  なぜなら『がん』に対する概念が 世界観、人生観、ひいては日常の決断や行動をも時には決定するからである。  「がん」の『起源』 と『進展』を学ぶことは、ある意味では人生の意義と目的の『静思』 へとも導くものと考える。  これこそ、『がん病理学者の社会貢献』 である。]を 学生講義、講演で、いつも語っている。

筆者は、以前、勝海舟(1823 - 1899) の屋敷があった赤坂で、講演『勝海舟の胆力 〜 がん哲学外来の心得 〜』に 呼ばれた。   母を亡くして 悩んでいるクララに対して、勝海舟の奥さん(たみ)の言葉;『悲しい時には 私達の所へいらっしゃい、一緒に泣きましょう、そしてあなたが 仕合せな時には 一緒に笑いましょう。  さあ勇気をお出しなさい、—— これから先の長い年月のことは考えず、今日という日以外には 日がないと思って ただ毎日をお過ごしなさい』は、「訪れる人を 温かく迎い入れる = がん哲学外来・カフェ」の原点でもあろう。

筆者の夢は、勝海舟を座長にして、天国で、「がん哲学外来・カフェ」を開催することである(添付)。  これが、「根底を一貫して流れる。長くも不思議な旅」ではなかろうか!