「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第88回「心に咲く花会」勇気と冷静 〜 人生の味 〜

第88回「心に咲く花会」

勇気と冷静 〜 人生の味 〜

コロナショックの時、いろいろな分野の方から、「言葉の処方箋」を さりげなく、打診される機会が多くなった。不思議である。

「人生いばらの道、されど宴会」(『いい覚悟で生きる』小学館 14ページ & 『人生を変える 言葉の処方箋』日めくり 9)も語った。「心がけにより 逆境も 順境とされる」(新渡戸稲造:1862-1933),「全力を尽くして、あとのことは 心の中で そっと心配すれば 良いのではないか。 どうせ なるようにしかならないよ!」(勝海舟:1823-1899)の実践ですねと! 「無邪気に、喜んで 小さなことに 大きな愛を込めた『アルプスの少女ハイジ』(作家:ヨハンナ・ シュピリ)、ヨハンナ・ シュピリ(1827-1901)が こよなく 敬愛した作家:ゲーテ(1749-1832)の「涙とともに パンを食べた者でなければ 人生の味は分からない」の言葉も、「がん哲学外来」の心得ですねと! 「人生いばらの道、されど宴会」の原典は、「悩む者には 毎日が不吉の日であるが、心に楽しみのある人には 毎日が宴会である。」(箴言15章15節)である。

下記の蔓延化の気配も 出始めているのでは なかろうか!

(1)感情的な主張

(2)科学的論拠の希薄さ

(3)正義感や義憤に基づいた主張

今こそ、「純度の高い専門性と社会的包容力 = 賢明な寛容性 = 正論より配慮」の歴史的出番であろう!

変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。変えることのできないものについては、それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。 そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを、識別する知恵を与えたまえ。

ニーバー(1892-1971)の祈りが、鮮明に蘇る日々である。