「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第10回『一億本の向日葵』 ~意外な発想~

第10回『一億本の向日葵』

~意外な発想~        

チャウチャウ犬 

「心に咲く花会」が出来てからというもの、樋野先生の変化球に、私の頭は常にフル回転である(笑)。あまりに奇想天外で毎回仰天するのだが、発想というのはこういった形で拡がっていくのだと体感を持って学ばせて頂いている。今回の樋野先生のアイデアは、『東山動物園シンポジウム』。実現は難しいが、「動物たちの風貌から学ぶ」という新たな発想が私の頭に浮かんだ。私たちは動物たちの風貌から何を学べるだろう?

 

4年前の今頃は抗がん剤治療の真っ盛りで、心身共に大変な時期であった。その時のエピソードと今回の問いかけが私の中で繋がった気がした。その時の私を励ましていたのは、2歳になったばかりの息子の存在であった。言葉として表現するのはとても難しいのだけれど、それは私が存在することへの絶対的信頼で、私を失うことへの心配や不安を感じていないからこその励ましであった。知識や経験がある分、大人はそうはいかない。私自身も家族の不安を軽くする為に無意識に配慮していたと思う。ある未来を想像して不安や心配になる。私が逆の立場であっても抱くであろうその感情を理解できるがゆえに、お互いに苦しくなっていた。だけれどうちの家族には、もう一人私がいることが嬉しくて仕方ない存在がいた。それは愛犬の「ゴボ」。私の顔を見て、声を聞くだけで、ただただ「嬉しい!」そんな素直な表現がとても励みになった。

 

「動物の方があたりまえのことを、あたりまえにできているのかもしれません。」

樋野先生の著書『人生から期待される生き方』の一文。もう6歳になった息子には「動物と一緒にしないで」と怒られそうだけれど、あの時の動物的なまっすぐな表現「あなたがいることが嬉しい。」がどれだけ治療中の人の心を慰め、励ますだろう。動物だって、不安そうな顔や悲しそうな顔、怒った顔をする時はある。ただそれは未来に対してのことでなく、今起こっていることに対しての顔である。

「ただ今を生きている。」

「あなたの存在は私にとってとても重要で、大切。」

不安や心配の根本にあるこの思いを、動物たちのようにまっすぐに表現できたら、いいなあと思う。

風貌ではないが、私たちが動物たちから学ぶことは大きい。

 

来年の8月11日「山の日」に、「心に咲く花会」主催

『全国動物大集合シンポジウム~動物たちの風貌に学ぶ~』ぜひ開催したいと日々イメージを膨らませている。

私の担当は『ナマケモノ』です。

ナマケモノ

ひまわり担当🌻斉藤智恵美