「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第17回 『一億本の向日葵』 ~もしかしたら、この時のためかもしれない~

第17回 『一億本の向日葵』

~もしかしたら、この時のためかもしれない~

 

今年も残り一日となった。もし2018年元旦の私に会って、今年一年の出来事を話してもきっと「うそだぁ!」と軽く返されてしまうだろう。また、乳がんと向き合い始めた頃の私に、今の私の心情を話したら、きっと「ほんと?」と涙を流して、目を輝かせてくれるだろう。

『がん哲学』に出会えたこと、『がん哲学』を通してたくさんの出会いを頂けたことは、私にとって呼吸を取り戻す為の本当に大切でかけがえのない出来事である。そしてこうして、樋野興夫先生、佐久ひとときカフェの星野昭江先生、名古屋のシャチホコ記念カフェの彦田かな子さんと『心に咲く花』会を通して、交流の機会を頂けたことは、“わたし”という小さな枠を超え、個性という「心に咲く花」、使命感という「人生から期待される生き方」を見つめ、考え続ける大きなきっかけであった。『松本がん哲学カみずたまカフェ』でもたくさんの方と出会い、「どう生きるか」を共に考えたひとときの積み重ねは、何事にも代えがたい生きた時間で、そうしたそれぞれの出会いや学びは、応援し支えて下さる方々と、私が想像もしえなかったアイデアを投げかけ、その経過を「素晴らしいですね!」と温かく励まして下さる樋野先生の存在なくてはあり得なかった。“30メートル後ろから見守られている”事を体感した一年間は、感謝の気持ちなくしては語ることはできない。

「もしかしたら、この時のためかもしれない」樋野先生から頂いたこのメッセージを、がんや苦難と向き合っている時の自分に、“決して今が答えではない。もしかしたら、この時のためかもしれないと思える時がくる”と伝えたい。期待通りに人生が進まないとしても、人生からは温かい期待のまなざしを向けられている。私の小さな想像力の中で生まれた期待をはるかに超える思いもよらない形で・・・。その期待を心で捉え、“今を懸命に生きる”ことを大切にしたいと思えた一年間であった。

 

『松本がん哲学みずたまカフェ』、『心に咲く花』会での活動を支えて下さった皆さま、『一億本の向日葵』を優しく見守って下さった皆さまに心より感謝申し上げます。来年も皆さまにとって豊かな年になります事を祈っております。ありがとうございました♪

ひまわり担当🌻齋藤智恵美