「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第355回「心に咲く花会」 『新しい自分の発見』 〜 他人の理解が深まる教育の原点 〜

2024年6月12日は、順天堂大学保健医療学部 診療放射線学科2年生の授業『病理学概論』(13:10〜14:40)、『がん医療科学』の授業(14:50〜16:20) 、【順天堂大学大学院修士課程(医科学コース)『がんと遺伝子』】の授業(19:45〜21:15)に赴いた。 学生の誠実な真摯な姿勢には、大いに感激した。 大学院生には、海外からの留学生も複数おられた。 質問も多く寄せられた。特に、【先生の語られる『人生邂逅の3大法則』について詳しく説明してください】の質問には、大いに感動した。 まさに、『人生の邂逅の非連続性の連続性』である。

『人生邂逅の3大法則』は、【よき師、よき友、よき読書】である。そして、人生は開いた扇のようである。人生における出会いは、出会った時に受ける影響だけに留まらず、20 ~30年後に影響してくることがある。 筆者の生涯に強い印象を与えたひとつの言葉がある。『ボーイズ・ビー・アンビシャス』(boys be ambitious) である。札幌農学校を率いたウイリアム・スミス・クラーク(William Smith Clark、1826-1886)が、その地を去るに臨んで、馬上から学生に向かって叫んだと伝えられている言葉である。

授業では、【新島襄(1843-1890)は、アメリカのアーモスト大学で、クラークから授業を受けた。 新島襄は、クラークにとっては最初の日本人学生であり、この縁でクラークは来日することとなった。 1872年、新島襄は、アメリカ訪問中の岩倉使節団と会う。 新島襄の語学力に目をつけた木戸孝允(1833-1877)は、通訳者として使節団に参加させた。 密航者として渡米した新島襄であったが、初代の駐米公使となった森有礼(1847-1889)によって正式な留学生として認可された。 勝海舟(1823-1899)とも出会っている。】を何時も話す(添付)。

また、【『将来、自分が専門とする分野以外の本を、寝る前に30分読む習慣を身につけよ。習慣となれば、毎朝、顔を洗い、歯を磨くごとく、苦痛でなくなる』、『何かをなす(to do)の前に何かである(to be)ということをまず考えよ』】も語った。『新しい自分の発見 & 他人の理解が深まるは、教育の原点』を実感する、大変貴重な『3連ちゃん授業』となった。