「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第296回「心に咲く花会」 『ただ、横にいるだけでいい』〜 『存在自体に価値ある』 〜

2023年9月30日10:40〜12:10 早稲田大学エクステンションセンター中野校での6回(09/30,10/07,10/14,10/28,11/18,12/09)連続講座【ジャンル 人間の探求:がんと生きる哲学 医師との対話を通して『がん』と生きる方法を考える】の第1回に赴いた。 テキスト『もしも突然、がんを告知されたとしたら。』(2023年 東洋経済新報社発行)(添付)を音読しながら進めた。 今回は『はじめに』と第1章『ただ、横にいるだけでいい』の箇所であった。 貴重な時となった。

【不安や悩みは解決しないけれど、解消できる---。 この本は、5000人以上のがんを告知されて不安や悩みを抱えた患者と家族に 対話を通じて寄り添う活動を続けている医師が、人生の困難に直面したときに、自分の生き方を見つめ直すきっかけをつかんでもらうことを願って書いた本です。 読みやすい小説仕立てになっていますので、自分が、家族が、大切な人が、がんになって不安でたまらない気持ちになったとき、読んでもらいたい1冊です。】と紹介されている(Amazonサイトより)。

筆者は、2008年に順天堂大学で『がん哲学外来』を始めてから、多数のがん患者とその家族に出会い、『人は、存在自体に価値あるものなのだ』と学んだものである。 いかなる境遇であろうと、人生をあきらめてしまいたくなるような〝とき〟が訪れていようとも、『人生から期待される生き方』(2017年 主婦の友社発行) (添付)を実感する日々である。

『人生から期待される生き方』には【癌研時代の恩師菅野晴夫先生(1925-2016)の教育を通して、東大総長南原繁(1889-1974)の恩師である新渡戸稲造(1862-1933)を知り、新渡戸稲造の読書にも浸った。 そして『異分野との交流をせよ!!』と、2000年『新渡戸稲造 武士道100周年記念シンポ』へと導かれた。 国連大学で、2004年『新渡戸稲造 5000円札さよならシンポ』を、時の検事総長原田明夫氏(1939-2017)と企画・開催したのが、走馬灯のようによみがえる。 これらが、まさに人生の邂逅の3大法則『よき先生、よき友、よき読書』である。】