「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第259回「心に咲く花会」 『救済の書』 〜 『逆境を超えてゆく』 〜

2023年4月13日東洋経済新報社から『もしも突然、がんを告知されたとしたら。』(添付)が送られてきた。【不安や悩みは解決しないけれど、解消できる―。 この本は、5000人以上のがんを告知されて不安や悩みを抱えた患者と家族に 対話を通じて寄り添う活動を続けている医師が、人生の困難に直面したときに、自分の生き方を見つめ直すきっかけをつかんでもらうことを願って書いた本です。 読みやすい小説仕立てになっていますので、自分が、家族が、大切な人が、がんになって不安でたまらない気持ちになったとき、読んでもらいたい1冊です。】(Amazonサイトより)。 表紙の帯には【5000人以上のがん患者と家族に寄り添い 生きる希望を与えてきた医師が送る、救済の書!】と紹介されている。 人生の岐路に立つ足元を照らす、そんな〝言葉の処方箋〟となり、人生の〝よき相棒〟となることを祈り、本書を捧げます。 筆者は、2008年に『がん哲学外来』を始めてから、多数のがん患者とその家族に出会い、『人は、存在自体に価値あるものなのだ』と学んだものである。 いかなる境遇であろうと、人生をあきらめてしまいたくなるような〝とき〟が訪れていようとも、『人生から期待される生き方』(主婦の友社発行2017年)を実感する日々である(添付)。

 

『一生』という時間の中には、無力感にさいなまれる〝とき〟がある。 日本人の精神性を世界に広めた名著『武士道』の著者の新渡戸稲造(1862~1933年)は、体調を崩してカリフォルニアに転地療養中に書き上げたのが『武士道』である。筆者は、2007年から『武士道』の読書会を行なっている(添付)。 2023年4月16日の読書会の箇所は、『武士道』の第14章『婦人の教育および地位』である。 今回は、野澤登美子氏と木戸良江氏が、音読の担当である。 大いに楽しみである。【人生はユリ根のようなもので、剥いでも剥いでもまだ中があるようだ。 一枚でも多く剥いだ人は、それだけ人生を多く味わった人と言うべきだろう。 剥いで剥いで中心に到達しなければ 人生は到底わからないものであるが、途中まで剥いだ人は とかく中心まで剥いだかのように言う。 辛い経験をした人は 人生の奥もまた辛いものであると早のみ込みをする。 今までがこうだったからこうであろう、と判断するのだろうが、それは必ずしも的を得ていない(実業之日本社刊『逆境を超えてゆく者へ』より)。】とある。


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