「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第247回「心に咲く花会」 内村鑑三 & 新渡戸稲造 〜『行動する人間』&『ぶれぬ大局観』〜

今日(2023年2月23日)は、天皇誕生日の休日である。 2023年2月26日の『読書会』の今回の箇所:新渡戸稲造『武士道』(岩波文庫矢内原忠雄訳)の第13章『刀・武士の魂』を静読する機会が与えられた。 今回の担当は 大弥佳寿子氏である。【勝海舟(1823-1899)伯は 我が国歴史上 最も物情騒然たり時期の一つを くぐって来た人であり、――― ナニ蚤や虱だと思えばいいのさ。 肩につかまって、チクリチクリと刺しても、ただ痒いだけだ、生命に関りはしないよ】(『海舟座談』)の文章は、何回読んで いつも心に染みる。

 

毎月の定例の読書会は、2007年からスタートした。 新渡戸稲造(1862-1933)『武士道』と内村鑑三(1861-1930)『代表的日本人』(岩波文庫、鈴木範久訳)を交互に読み進めている。 札幌農学校の初代「教頭」のクラーク(William Smith Clark、1826-1886)博士の教えを受けた2期生『内村鑑三 & 新渡戸稲造』は『行動する人間』であったと若き日から学んだものである。 『源流・原点回帰』の復習である。【樋野先生のユニークで わかりやすい解説とさり気なく語られるメッセージに励まされ、人生の生きる意味を あらためて考える ひとときになります。】と心温まる紹介がなされている。 ただただ感謝である。

 

2007年から始まった読書会は 早16年目を迎えた。 20世紀の初めに、共に英語で書かれているところに、『新渡戸稲造内村鑑三』のスケールの大きさが窺い知れよう。 まさに、『人生邂逅の3大法則 〜 良い先生、良い友、良い読書 〜』の実感である。『出会い』による『ぶれぬ大局観の獲得』である。 継続の『心得と胆力』を思うこの頃である。『源泉を忘れて、末にのみ、くんでいる。 なぜ、さかのぼって歴史を太く流れつつある一大生命の源を きわめんとせぬのであるか。』(内村鑑三著『ロマ書の研究』)の現代への警告が甦る。『最も必要なことは、常に志を忘れないよう心にかけて記憶することである』(新渡戸稲造)。『本流 vs 主流』の違いを静思する時でもある。『古いものには、まだ再活用される要素があるのである』(内村鑑三)の教訓が今に生きる。『人生は短し、真理は長し』(内村鑑三)の言葉が、現代社会に生きる『叡智』として身にしみる今日この頃である。 まさに『人生の目的は品性の完成なり』の模範であろう!


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