「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第283回「心に咲く花会」 コミュニケーション 〜 『他人の苦痛に対する思いやり』〜

2023年8月10日、千葉県福祉ふれあいプラザ介護実習センター(我孫子市)での専門職研修会の講演『緩和ケアにおけるコミュニケーション 〜 患者さんとご家族が心穏やかに過ごせるように 〜』(添付)に赴いた。 参加者は、介護支援、介護系、社会福祉士、看護師緩和ケアの業務の関わる人々であった。 多岐にわたる質問も寄せられ 大変有意義な充実した貴重な時であった。

読書についても質問された。 筆者の読書遍歴は、【内村鑑三(1861-1930)・新渡戸稲造(1862-1933)・南原繁(1889-1974)・矢内原忠雄(1893-1961)】とさりげなく語った。 英文で書かれた『武士道』(新渡戸稲造)と『代表的日本人』(内村鑑三)の読書会を東久留米で2007年から毎月行なっていると紹介した。 是非、参加されたいようである。 人生邂逅の三大法則は、『良い先生、よき友、良い読書である』を実感する日々である。

『言葉の処方箋10か条』 & 『偉大なるお節介症候群10か条』 & 『ブスの25箇条』も紹介した(添付)。 コピーをして、自宅に貼って置きたいようである。 まさに、ユーモア(you more)の実践である。

 

新渡戸稲造は『武士道』で『仁』について検討する中で、【『最も剛毅(ごうき)なる者は最も柔和なる者であり、愛ある者は勇敢なるものである』とは普遍的に真理である。】と述べている。 ごく簡単に言えば、『弱いものいじめをするな』ということであり、『なすべきことをなそうとする愛』ということであろうと理解している。 これは、『高き自由の精神』を持って医療に従事する者への普遍的な真理である。 新渡戸稲造のいう『他人の苦痛に対する思いやり』は、医学、医療の根本である。

『病気 vs 病人』の違いを静思する時である。 『病気であっても、病人ではない社会構築』が、これからの『医療の共同体』の姿であろう。『自分の命より大切なものがある』ということを知ることは、『役割意識 & 使命感』の自覚へと導く。『練られた品性と綽々たる余裕』は『教育の真髄』であろう!