「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第270回「心に咲く花会」

総合人間学 〜 学際的に考察し理解する 〜

2023年6月7日は、順天堂大学保健医療学部 診療放射線学科『病理学概論』&『がん医療科学』、順天堂大学大学院修士課程(医科学コース)『がんと遺伝子』の3つの講義に赴いた。 多数の質問が寄せられた。 その中で、特に印象に残った質問は、【先生は、奥様に毎日、『ありがとう』と言っておられますか?』であった。 筆者は、【『ありがとう』でなく『Thank you』と伝えている】と答えた。 教室は爆笑であった。 真摯な学生の姿勢には大いに心が癒された。

『医療者の2つの使命』

(1)『学問的、科学的な責任』で、病気を直接治療する

(2)『人間的な責任』で、手をさしのべる。

6月8日のルーテル学院大学(東京都三鷹市)での講義『総合人間学序論』 (10:20〜12:00)では、テキストは筆者の『がん細胞から、学んだ生き方 〜 「ほっとけ 気にするな」のがん哲学』(へるす出版)を音読しながら進めるとのことである。

【到達目標】

1)人間とは何か、人間の尊厳とは何かを多面的に考察し理解することができる。2)地域、日本、世界を構成する私たちは どのような社会づくりを目指すべきなのか。それを学際的に考察し理解することができる。

3)大学の理念、3つの学びの系を理解し、自らの職業選択などに活かすことができる。

【講義の概要: 人間を 魂と こころと 生活、家族や地域社会と関わる存在として総合的に理解し、対人援助に関わる高度専門職業人としての基礎を培う。― 特に『いのち』を巡る諸問題を探求する力と 人間の存在を重んじる心を 涵養し、他者との関係性に生きること、その倫理について学ぶ。さらに、総合人間学としての学びを具体的なキャリアに結びつけながら、学びをふかめていく。】と謳われている。

午後は『現代生命科学I』(13:20〜15:00、15:10〜16:50)である。 『現代生命科学I』の『病理学』では、教科書『カラーで学べる病理学』を用いて音読しながら進める。 日々勉強である。