「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第294回「心に咲く花会」 『促進する道』〜『賢明な胆力』と『真摯な姿勢』〜

2023年9月21日、筆者は理事を務めた、現在は名誉会員として、第82回日本癌学会学術総会(The Japanese Cancer Association)(パシフィコ横浜に於いて)に参加する機会が与えれた。 『最前線のがん研究・医療』の復学の時であった。

【癌研究会創立時の1908年4月2日に癌研究会が主催した第1回学術集談会がその始まりで、以後毎年開催されてきた。 1935年ごろになり、癌研究会の会員および研究者間に、『がん研究が近年急速に進展しつつあることを考えて、癌研究会とは全く従属の関係を持たず、しかも日本におけるがん研究の中心的存在である学会を別に設立し、全国の学者の協力により一層研究を促進する道を講ずべきだ』との意見が起こってきた。 このような状況をみて、1940年3月15日開催の第24回癌研究会理事会で、長与又郎(1878 - 1941)は、癌研究会頭が提案して、新たに『日本癌学会』を設立することにつき討議した。 全員一致で決議した。】と謳われている。 筆者は、2018年 日本癌学会『長與又郎賞』を頂いたものである。

今年は、ワトソン(James Dewey Watson, 1928年- )とクリック(Francis Harry Compton Crick, 1916 - 2004)が、DNAの二重らせん構造を発表(1953年)してから70周年である。 また、ワールブルク(Otto Heinrich Warburg、1883 - 1970)の『Warburg(ワールブルグ)効果(がん細胞は大量のグルコースを消費する)』が、今回の第82回日本癌学会学術総会で鮮明に想い出された。

その後、新渡戸稲造(1862 -1933年)が初代の理事長を務めた新渡戸記念中野総合病院新渡戸稲造記念センターに寄り、そして、新渡戸稲造が初代学長を務めた東京女子大学の理事会に向かった。『3連チャン症候群』の日となった。

9月22日は、山梨大学医学部消化器内科の榎本信幸先生(名誉教授、特命教授、東部地域医療教育センター長、大月市立中央病院理事長)の依頼で3年生『統合臨床医学』の特別講義『医療と患者をつなぐ懸け橋』に赴いた。 榎本信幸先生の『賢明な胆力』と医学生の『真摯な姿勢』には大いに感動した。