「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第310回「心に咲く花会」 時代を超えた教育 〜『丁寧な大局観』&『温故創新』〜 

筆者は、2023年12月4日千葉市東京情報大学看護学部1年生の必須科目『病理学』の講義に赴いた。 【生命に対する畏敬の念と しなやかな創造力を持ち,看護の対象を深く理解しながら 援助できる基礎能力を修得し,科学的根拠に基づいて 適切なケアが提供できる看護職を育成する。】と謳われている。

今回は、『教科書:ナーシング・グラフィカ 病態生理学』(MCメディカ出版)を用いて『遺伝子異常:遺伝学の基礎、遺伝子異常と疾患、遺伝医療』&『細胞障害・変性と細胞死:細胞の障害と適応、細胞の障害・適応の分類とメカニズム』の箇所を音読しながら進めた。 学生の真摯な姿には大いに感動した。 【人間の身体のできと、その心情の動きとは、『昔も今も変わってはいない』のである。『病理学』は、『丁寧な大局観』を獲得する『厳粛な訓練』の場でもある。】 まさに、時代を超えた教育の大切さを実感する日々である。 『がん哲学外来の原点』と『筆者の夢』をいつも授業で語ることにしている(添付)。

その後、筆者は、第3代目代表を務める南原繁研究会(第231回)(対⾯会場 学⼠会館)にZoom参加した。 『⽇本の近現代史における南原繁』の学びの時となった。

今年(2023年)11月3日の『第20回 南原シンポジウム』で発表された内容を基本とし製本が企画されている(出版予定時期 2024年6月1日)。 本のタイトル(仮)『政治と宗教の関係を問い直す』である。

2004年創立された『南原繁研究会 趣意書』には、【平和と教育の問題が大きな課題となっている今日、平和と教育を最も大切な価値と考え、戦後の困難な時代と取り結んで、『理念を持って現実に向かい、現実の中に理念を問われ』た 南原繁(1889-1974)先生に学ぶことは、大きな意義があると考えます。 南原繁先生の取り組んでこられた命題は、歴史の試練を超え、今日の命題でもあり、また将来の日本の国と国民を導く理念であると考えます。 まさに『温故創新』であります。 そこで、南原繁先生没後30年に当る今年、『南原繁研究会』を発足させることと致しました。】と記載されている。