「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第274回「心に咲く花会」 自由にして勇気ある行動 〜 あらゆる行動に普遍性の烙印を押す 〜

2023年6月28日Zoom南原繁研究会(第227回)に出席した。 筆者は、2004年にスタートした南原繁研究会 【初代代表、鴨下重彦 先生(1934年-2011年、東京大学名誉教授、国立国際医療センター名誉総長)、第2代代表、加藤 節 先生(成蹊大学名誉教授)】の3代目の代表を、2019年 南原繁(1889-1974)生誕130周年を祝し、仰せつかった。 南原繁は、内村鑑三(1861-1930)と新渡戸稲造(1862-1933)から大きな影響を受けた。 新渡戸稲造校長時代の一高で学び、東大法学部に入学後、内村鑑三の聖書講義に出席するようになった。 東大卒業後、内務官僚から学者に転進し、ヨーロッパ留学を経て東大教授となり、戦後、東大総長に就任した。

筆者は、南原繁が東大総長時代の法学部と医学部の学生であった二人の恩師から、南原繁の風貌、人となりをうかがったものである。 【南原繁は、『高度な専門知識と幅広い教養』を兼ね備え『視野狭窄にならず、複眼の思考を持ち、教養を深め、時代を読む
具眼の士』と教わった。 南原繁は、『教養ある人間とは、自分のあらゆる行動に普遍性の烙印を押すことであり、自己の特殊性を放棄して普遍的な原則に従って行為する人間のことである』、また『それは人間の直接的な衝動や熱情によって行動する代りに、つねに理論的な態度をとるように訓練されることである。』】(南原繁著作集第三巻)、【『時代を動かすリーダーの清々しい胆力』としての『人間の知恵と洞察とともに、自由にして勇気ある行動』(南原繁著の「新渡戸稲造先生」より)】という文章が思い出される今日この頃である。

筆者は、2003年に著書『われ21世紀の新渡戸とならん』発行した。 それが、2004年 南原繁研究会のスタートと繋がった。 今年(2023年)は、『われ21世紀の新渡戸とならん』(2003年発行)出版20周年記念として、新刊『教養を深め、時代を読む 〜 楕円形の心 〜』の発行が企画されている(添付)。 『もしかすると、この時のためであるかもしれない』(エステル記4章14節) &『すべてのことを働かせて益としてくださることを、私たちは知っています』(ローマ人への手紙8章28節)の実体験の日々である。