「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第278回「心に咲く花会」 『人生の眼が開かれる』 〜 『いのちの言葉との出会い』 〜

2023年7月15日午前中は、 早稲田大学オープンカレッジでの講座『がんと生きる哲学』に赴いた。 テキストは筆者の『がん細胞から、学んだ生き方 〜 「ほっとけ 気にするな」のがん哲学』(へるす出版)を用いて『「がん教育」は なぜ必要か?』&『医療者としての原点』の箇所を音読しながら進めた。 受講者の真摯な姿勢には、大いに感動した。

午後は、『お茶の水メデイカル・カフェ in OCC』に向かった(添付)。 『お茶の水メデイカル・カフェ in OCC』は東日本大震災の2011年に創設準備が始まり、2012年にOCC副理事長であった今は亡き榊原寛先生が始められた。

今回は、ヘレン・アダムス・ケラー(Helen Adams Keller、1880-1968)についてもさりげなく語った。 ヘレン・ケラーは、3重苦(聴力、視力、言葉を失う)を背負いながらも、世界各地を歴訪し教育・福祉に尽くした。【ヘレン・ケラーは、2歳の時に高熱にかかり、聴力、視力、言葉を失い、話すことさえ出来なくなった。 両親から躾(しつ)けを受けることの出来ない状態となり、家庭教師として派遣されてきたのが、当時20歳のアン・サリヴァン (1866 -1936) であった。 サリヴァンは その後約50年にも渡って、よき教師として、そして友人として、ヘレンを支えていくことになる】。 ヘレン・ケラーは、3度 (1937、1948、1955) 来日している。 ヘレンとサリヴァンの半生は『The Miracle Worker』(日本語『奇跡の人』)として映画化されている。 英語の【『The Miracle Worker』には『(何かに対して働きかけて)奇跡を起こす人 といった意味があり、本来はサリヴァンのことを指す』】とのことである。 ヘレン・ケラーが『人生の眼』を開かれたのは『いのちの言葉』との出会いである。 学びは、『I am only one, but still I am one. I cannot do everything, but still I can do something; And because I cannot do everything I will not refuse to do the something that I can do.「私は一人の人間に過ぎないが、一人の人間ではある。 何もかもできるわけではないが、何かはできる。 だから、何もかもは出来なくても、出来ることを 出来ないと 拒みはしない」』(ヘレン・ケラー)。 大変有意義な充実した貴重な『お茶の水メデイカル・カフェ in OCC』であった。