「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第292回「心に咲く花会」 『歴史の動脈』〜『人物を通して流れている』〜

順天堂大学総務局長細谷芳三氏と、情報戦略・IR推進室部長土田博文氏と3人で、順天堂大学のレストランで昼食を共にした。『新渡戸稲造(1862-1933)』&『向上心の虫』&『真の国際人』で大いに話が盛り上がった。

【『新渡戸稲造』:女子教育に 大いなる理解を示した新渡戸稲造東京女子大学 初代学長)が、河井道(恵泉女学園 創立者)、津田梅子(1864―1929; 女子英學塾 創立者)、安井てつ(1870-1945;東京女子大学 第2代学長)を 援護した三人に共通するのは『種を蒔く人になりなさい』の実践ですね!

『向上心にある虫』:遅かれ早かれみんな死にますよ。 人間は、虫と違って自分の寿命に気づかない生物ですからね。 虫は自分の住処だけで論じています。 自分の住処を空の上から見る視点を持てということです。 それを『向上心のある虫になれ』と言った人物が新渡戸稲造です。 現代の日本の社会では、空の上から自分の住処を見る視点を持つのが必要ではないですかね!

『真の国際人』:新渡戸稲造が『東洋と西洋をつなぐ懸け橋』になることを願ったように、『医療と患者をつなぐ懸け橋』になる。 新渡戸稲造は、国際連盟事務局事務次長(1920年〜1926年)就任した。 当時『ジュネーブの輝ける星』とうたわれた日本が誇る国際人でもある。 『忍耐強い芸術的な「外交哲学」』の『実例と実行』を示したのではないでしょうか!】とさりげなく語った。

その後、新渡戸稲造センター長を務める新渡戸記念中野総合病院での読書会に向かった。 今回は新渡戸稲造著『武士道』の第15章『武士道の感化』であった。新渡戸稲造は、札幌農学校時代(18歳頃)、鬱病的に陥り カーライル(1795-1881)の『衣装哲学』に出会い、『渇者の飲を求めるごとき 勢いで読んで 慰藉を得た』と言われる。 カーライルの『師匠』はゲーテ(1749-1832)であり、ゲーテー> カーライルー> 新渡戸稲造、まさに『歴史の動脈は 人物を通して流れている』。 『武士道』には、275人の人物が記述されている。『人は 有為の人物に接するほどに 練磨され、より進展するものである』の復習の時となった。