「心に咲く花会」樋野興夫コラム

一般社団法人がん哲学外来 理事長 樋野 興夫(順天堂大学 名誉教授)コラムです

第324回「心に咲く花会」 『人生の真髄』 〜 『内から湧き出るjoy』 〜

最近、筆者は、医療系の新刊の『巻頭言』、『帯』を依頼されることがある。
【『役割意識 & 使命感の自覚』と『練られた品性と綽々たる余裕』は『人生の真髄』】である。 人間の尊厳に徹した医療の在り方を考え、『潜在的な需要の発掘』と『問題の設定』を提示し、『病気であっても病人ではない』&『他人の苦痛に対する思いやり』は、医療の根本であり、患者の視点に立った医療が求められる現代において 本書は『必読書』となろう。】と 常に記述する。
人間は自分では『希望のない状況』であると思ったとしても、『人生の方からは期待されている存在』であると実感する深い学びの時が与えられている。 現代は、『表面的なhappy』vs『内から湧き出るjoy』の違いの考察の時ではなかろうか! まさに、【『多様性のある居場所』 ~ 賢明なる配慮 ~】である。 

【電子計算機時代だ、宇宙時代だといってみても、人間の身体のできと、その心情の動きとは、昔も今も変わってはいないのである。 超近代的で合理的といわれる人でも、病気になって自分の死を考えさせられる時になると、太古の人間にかえる。 その医師に訴え、医師を見つめる目つきは、超近代的でも合理的でもなくなる。 静かで、淋しく、哀れな、昔ながらの一個の人間にかえるのである。その時の救いは、頼りになる良医が側にいてくれることである】(吉田富三:1903-1973 の言葉)である。

また、『医師は生涯書生』・『医師は社会の優越者ではない』・『医業には自己犠牲が伴う』(吉田富三)は、まさに、現代にも生きる『医師の3ヶ条』であろう。さらに、【医師が患者という人間をみる『眼』の問題は、近代医学教育と、医師の修練過程のどの部分で、どれだけ重視されているのか。 そこを考えると、疑問なきを得ない。】(1967年)と指摘している(添付)。

まさに、【患者・家族の苦痛の軽減・療養生活の質の向上を目標とし、相談支援・情報提供で、健康問題や医療の現状、命の大切さなどを総合的に学習する。】と文部科学省の『がん教育』でも謳われている(添付)。